健康を考えるブログ

弱体化していく子供の体 By 豊岡倫郎氏 2022-1-29

1.弱体化してゆく子供の体

人生100年時代になったと、楽観視している人が多いが、今の百寿者の人たちは、大正末から昭和の初めに生まれて、成長期時代の環境は、食事、乗り物、冷暖房手段などは簡素で、厳しく、体も鍛えられた。ところが今、心ある医者達からは、子供の体に異変が起きていて、子供たちの健康状態について、先行き懸念する声が上がっている。

2.子供たちに起きている憂いべき症状の数々

ある教育機関の小学生、中学生を対象にした調査によると、その症状を多い順から列挙すると、アレルギー性疾患、視力が弱い、すぐ疲れる、歯並びが悪い、腹・頭痛がある、背中がぐにゃぐにゃ、体温36度以下、首・肩コリ、虫歯、肥満などの症状である。

3.何故こんな症状が起きるのか

我々を取り巻く社会環境は、整備されて、多種多様な食べ物は溢れ、交通機関も発達して、歩くことも少なくなり、放課後友達と外で遊ぶこともなく、夜遅くまでスマホやパソコンを操作して、腹がすけば夜食を摂り、冷暖房設備が完備されて、農薬や食品添加物の入った加工食品、大気汚染の中に囲まれているという、衣食住の生活環境がすっかり、自然から乖離してしまつた。即ち飽衣飽食、運動不足、ストレス、睡眠不足などで、体は弱体化してしまった。

4.多いアレルギー性疾患

アレルギー性疾患には、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎(花粉症もその中に入る)、食物アレルギーなどがある。その中でも一番多いのがアトピー性皮膚炎で、全国に治療を受けている人が約700万人、花粉症は10人に1人が悩んでいると云われている。上述した様に子供達にも一番多いのが、アレルギー性疾患で、3人に1人いるという。

5.アレルギー性疾患発症のメカニズム

アレルギー性疾患発症のメカニズムは、どの症状の場合も、皆同じで、起こってくる場所と、その症状が違うだけである。つまり体外から入ってくる抗原(アレルゲン)となる物質、例えばダニ、カビ、花粉、そして大豆、卵、牛乳などのタンパク質が体内に入ってくると、体に備わっている抗体との間で、異物として処理しようとする反応が炎症を起こし、それぞれの場所で症状として発生する。なお抗体とは、病気の原因となる物質が体内に侵入したとき、異物として攻撃したり、体外に排除する役割を担うために作られたタンパク質のこと。

6.アレルギー性疾患の治験

何故私がアトピー性皮膚炎や花粉症になったのか、しかも通院していても、治療の決め手となる治療法が確立されていない為に、どうしたらよいのか、悩んだり、疑問を持っている人が多い。

この問題に対して、1998年に話題となったのは、八尾市の甲田医院で行われたアトピー性皮膚炎の治療の為に実施された「健康合宿」とよばれるものである。この合宿には浜松医科大学、大阪大学、兵庫医科大学、岡山県立医科大学の先生方も参画して、重傷から中等のアトピー性皮膚炎の患者20名が入院して、1996年11月から12月の2か月間、甲田医院にて、治療が進められた。その結果は好成績に終わった。

その後、この健康合宿の成果を知った人達から、もう一度健康合宿を実施してほしいとの声が上がり、1997年8月に第2回目が、17名のアトピー性皮膚炎の患者が参加して甲田医院で行われた。その結果は前回と同様に、17名全員の症状が軽快するという好成績が認められた。そしてその治験が1998年12月に行われた、第48回日本アレルギー学会総会で、報告された。

この合宿の体験集が、甲田光雄監修、すこやかな子供を育てる勉強会編、「アトピーの健康合宿に学ぶ、甲田療法の実践記録」として創元社から出版された。

アトピー性皮膚炎に対する、所謂甲田療法の主眼点は、外部からのアレルゲンと云われる抗原物質よりも、タンパク質の多いに肉,乳製品の過食で悪化した腸内環境に、発症の原因があるとするものであった。

従ってその対策としては、アレルゲンが傷ついた腸粘膜から体内に入らないようにする事に視点を置いた。これを戸締り論と称した。浜の真砂のようにアレルゲンは数々あれど、腸壁を修復し、しっかりと戸締りすれば、体内に入って行かないという理論である。

まず少食主義に切り替えて、今迄の乱れた食事によって荒れた腸粘膜の傷を治すことに主眼を置いて、少食、玄米、生野菜汁など、一連の甲田療法を実行したのである。詳細は上述の著書参照。現代の症状を消そうとするだけの医療は食を超えられないことを示したのである。

7.体の不調は腸もれ、正式にはリーキーガット症候群とは

腸もれに関する研究が進み、腸もれが体の不調の一大原因と云われている。腸もれとは、腸壁の細胞間の連結が緩んで、隙間が出来て、そこから腸内で腐敗したタンパク質の毒素や細菌などが腸壁から吸収されて、血液に混じり、全身の組織に悪い影響を与えてしまうことが解かってきた。今や日本人の70%に「腸もれ症候群」の可能性があるという。

例えば、アレルギー性疾患はもとより、慢性炎症、慢性の消化器系疾患、めまい、疲労、多動症、自閉症、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身痛、動脈硬化、慢性リュウマチなどの発症に係わっている可能性を指摘している。

対策は良い腸内環境を作る食事、即ち少食、3分づき玄米、生野菜汁、小魚、大豆製品、ゴマ、海藻、キノコ、根菜類中心の食事である。肉、卵、乳製品、食品添加物の多い加工食品、酒、甘いものは控える。特に蛋白質の過剰摂取で生じる窒素酸化物が元凶となっている。

8.子供の病気は親の責任

両親が健康であれば、生まれる子供も元気に生まれる筈。問題は両親が不規則な、乱れた食生活を続けていれば、「この親にして、この子あり」という諺の通り、病弱な子供が生まれるに違いない。先ず子供の為にも、自分の為にも、正しい生活習慣を身に付けねばなるまい。

食育と云う言葉が有る。食育基本法と云う法律が2005年に制定されている。その中身は、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成のために、保護者、教育関係者の役割、伝統的な食文化、生産者の環境、食の安全性などについて規定されているが、今の医療体制は食事療法に無関心で、治療に活かされていないというから、話は深刻さを増す。

9.まとめ

1)毎日テレビでは地方のグルメやスイーツの食べまくり番組を放映している。今回触れなかったが、いま小、中学生に高コレステロール、脂質異常、動脈硬化が激増しているという。

2)乱れた食生活がじわじわと体を蝕んでいる、今の子供が百歳まで生きられるのだろうか心配。

3)親は早く食の重大さに気づき、子供の食育をしないと、親も子も滅びてゆく。

おわり


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