健康を考えるブログ

月別アーカイブ: 1月 2021

血管を柔らかくするNO(エヌオー:一酸化窒素)とは By 豊岡倫郎 氏 2021-1-28

1. NO(エヌオー)の発見でノーベル賞受賞

1998年にNO(エヌオー)即ち一酸化窒素を発見したアメリカの3氏、ルイス・イグナロ氏、ロバート・ファーチゴット氏、フェリド・ミュラド氏に、ノーベル医学・生理学賞が授与された。一酸化窒素はノーベル賞を授与するに値するほど重要な役割を体内で果たしていることの査証に外ならない。

2.NO(一酸化窒素)とその働きとは

一酸化窒素とは窒素(N)と酸素(O)が結合した窒素酸化物である。血管の動脈は外膜、中膜、内膜の3層で構成されていて、外膜は血管の外側を保護する層で、中膜は平滑筋と線維から成り立っていて、伸び縮みする層で、内膜は内皮細胞と内皮下組織から成り立っている。

順調に血流が流れている時は、一酸化窒素はこの血管の内皮細胞で生成されて、中膜にある平滑筋に作用して、平滑筋の緊張が緩んで、血管が広がるので、血流が良くなる働きをしている。

以前、福岡歯科大学の平田雅人教授の「かかと落し健康法」を紹介したが、かかと落しを実行することによって、骨ホルモンと称するオステオカルシンが分泌されて、健康維持に効果があるという内容の話である。

今回の一酸化窒素の発見でノーベル賞を貰ったフェリド・ミュラド氏は当時スタンフォード大学の教授をしていた時に、平田雅人氏はこの大学に留学していて、教えを受けていたという逸話がある。

かかと落しで発生するオステオカルシンには、一酸化窒素の産生を促進する働きがあり、この一酸化窒素を作ることが、動脈硬化の予防になる。前述したように一酸化窒素には血管の平滑筋を弛緩させる働きがあるから、血流が良くなるし、血管内のコレステロールや血栓の発生を抑えることから、動脈硬化の抑制に効果がある。更に一酸化窒素にはアンモニアを取り除いたり、乳酸の消費を促進することによって、疲れにくい体を作る効果もあるという。

その他一酸化窒素の働きを整理すると、●血管を拡張する。●血栓を作りにくくし、血液をサラサラにする。●血管の炎症を抑える。●酸化を抑える。●血管内のコレステロールの塊であるプラークの発生を抑える。●毛細血管の数を増やす。

3.血管の老化

加齢と共に血管も硬くなり、衰えてゆくが、加えて生活習慣の悪い人には、更にそれを促進するような血糖値が高い、中性脂肪が多い、コレステロールが多い、血圧が高い、肥満である、運動をしないなどが重なり、最終的には動脈硬化を招いている。

血流の悪いところに、ガンを始めとして、いろいろな病気が発生するのは理の当然であるが、しなやかな柔らかな血管を維持することによって、血流を改善して疾病を防ぐためには、一酸化窒素の生成を昂進する方法を実行すれば、動脈硬化も予防できる。

4.一酸化窒素の生成を促進する方法

1)体操療法・・・●以前紹介した「かかと落し体操」をする。一日に30回。●床に座って、両足を真っ直ぐ前に伸ばして、足首を先方へ倒し、次に手前へ引き寄せるふくらはぎ体操をする。5分間。●自彊術体操をする。31の動作を約15分で行う。●外へ出て、20分の早足散歩をする。●家の中で足踏み体操をする。ゆっくり5分間。これ等の体操の中から気の向くものを始めたらよい。ただ高血圧や心臓に負担をかけないように、無理をせず、マイペースで、徐々に回数や時間を増やす工夫をする。

2)和温療法・・・元鹿児島大学医学部の教授で、今は和温療法研究所所長の鄭忠和氏が確立した療法で、それは、室温を60°Cに設定した遠赤外線乾式サウナ治療室で、全身を15分間温め、そのあと、椅子に座った状態で30分間保温し、最後に発汗量に見合った水分を補給するという方法である。全身を温めることによって、血管が広がり、血液循環が促進されて、血管内皮細胞から一酸化窒素が放出される。血管新生作用も起きて、動脈硬化を抑制する効果もある。詳細は鄭忠和氏の著書「なぜ微熱は体にいいのか」の中で、いま迄45年間の診療から、心不全を始めいろいろな難病の治癒例も掲載されている。

3)食事療法・・・骨も筋肉も血管も血液も毎日の食べ物によって、作られている。適量のタンパク質は白身魚、青魚や大豆製品から摂取し、生野菜、果物、小魚、海藻、ゴマ、コケ類、発酵食品、梅干しなど摂取すれば、ビタミン、ミネラル、酵素、抗酸化成分も補給できる。

4)避けるべき行為・・・高コレステロール、脂質異常症、高血圧、動脈硬化症は高脂肪、高蛋白質の欧米食に起因するものであるから、程々に控えることが肝要である。

またタンパク質と糖分の過剰摂取は体内で最終糖化産物という、別名AGEsを体内で生成させて、血管を傷つけ、老化を早めるから、摂取は控える。

更に活性酸素を体内に発生させるような事、即ちストレス、過激な運動、便秘、過労、食品添加物や農薬の多い加工食品の摂取、医薬品、酒、喫煙、長時間の直射日光は極力控える。

5.血管の欠陥は万病の元

死亡原因のトップスリーといえば、ガン、心臓疾患、脳卒中であるが、ガン以外の死因には、血管の欠陥に起因している。長年暴飲暴食を続けていれば、病魔に侵されるのも当然である。生活が豊かになり、これでもか、これでもかと毎日テレビでは、やれグルメだ、スイーツだと、浮かれているのは、如何なものか。

血管は沈黙の臓器と言われている。痛みや、痒みも感じないから、おろそかにされて、健康診断で指摘されても、生活に何ら不都合を感じないから、放置され続ける結果、最終段階に入って、突然として、発症したときにはもう遅い。薬では完治せず、手術によって応急処置を受ける羽目に陥る。今こんなに病人が多いのも、例えば糖尿病の人が予備軍を入れて、2200万人、高血圧3500万人、慢性腎臓病1300万人、骨粗しょう症1300万人、腰痛2200万人、変形性膝関節症1400万人、下肢静脈瘤1000万人、メタボ960万人等、薬では簡単に病気は治らないこの事実を真摯に受け止めて、日頃の生活態度に問題がないか、今一度反省することも無駄にはなるまい。病気になっても、医者に丸投げしないで、自分の努力で治せる病気と医者に治してもらう病気とがあることを知って、健康知識を身に着けて、自助努力に励めば、病人は減ることは間違いない。

6.まとめ

体操をすることによって、血流を高めて一酸化窒素を増やす行為は誰でもすぐに実行できることである。しかも副作用がない。私が毎朝実行している自彊術体操の31の動作の中にある、スクワットや前屈、かかと落しなどに、一酸化窒素を増やす効果があることを今回知ったが、百年前に創設した中井房五郎先生の先見の明に感動した次第である。今まで長年健康講座を開いていて、折に触れ、自彊術を薦めているが、実行してくれる人は稀有である。皆さんは体を動かすことが嫌いなのか、効能を認識出来ないのか。実際に体験しないと、その良さを理解できない。「座して死を待つ」のだろうか。

おわり


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コロナ自粛 お見舞い

井上あんな氏 作品


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詩と絵が出会う詩集絵本「いっしょに2020」

詩と絵が出会う詩集絵本「いっしょに2020」制作委員会が年に一度発行する絵本で、NPO健康を考えるつどいもこの活動に協賛している。

2019年度日本芸術院受賞者の鹿児島大学教授・彫刻家 池川 直氏の推薦文によると、

2020年、新型コロナウイルスが猛威を振るっています。いまだ自粛生活の日々が続いているところです。

私たち彫刻家も発表の機会を失っていますが自己をもう一度見つめ直し、新たな自分を見つけようとしています。この状況の中この作品集の作者もそうして自己を見つめ、新たな自分を発見したのではないでしょうか。

身のまわりの自然や人とのつながり”絆”について、素直な心を通して体験しことを元に、絵と言葉で紡ぎだされた素敵な作品集です。

一例をご紹介(誌:中川 俊彦、絵:宮竹 富代)


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体の石灰化 By 豊岡倫郎 氏 2020-12-27

1.体の石灰化とは

体に違和感を覚えて、病院で超音波やMRI検査を受けると、患部に石灰化が見られるというケースが最近話題になっている。

石灰化とはどんな現象なのだろうか。体内で重要な働きをするカルシュウムが異常を起こして血液の中に溢れると、血管、関節、組織や臓器などに沈着して、石灰化する現象をいう。当然石灰化すればこれらの器官の働きは制限されて、疾病につながって行くから怖い。

2.何故石灰化が起きるのか

体にはホメオスタシスという生体の恒常性維持機能が備わっていて、血中のカルシュウム分の濃度は常に一定に調整されている。その値は血液100ml中10mgに維持することであるが、カルシュウム濃度が低くすぎたり、逆に高すぎると、カルシュウムパラドックス現象が起きる。

カルシュウムパラドックスとは、二つのケースがあり、摂取したカルシュウム量が少ないと、骨からカルシュウムを取り出し流用するために、一時的に血中に必要以上のカルシュウム分が溢れてしまうケースをいう。

もう一つのケースは摂取したカルシュウム分が多すぎると、血中の濃度を下げようとして、体外へ排出させるために、逆に一時的に血中のカルシュウム分が不足してしまう。そこで骨からカルシュウムを捻出することになる。要するにカルシュウムの摂取量が少なすぎても、多すぎても、骨からカルシュウムが抜けてゆく結果、血中に溢れたカルシュウムが体の至る所に沈着してしまう。当然骨粗しょう症にもなってゆく。いづれにしても、各人が日常の食生活の中で、毎日のカルシュウム摂取量が適正であるかどうかは判断するのは難しい。

3.体内でのカルシュウムの役割

周知のように骨や歯の主成分はカルシュウムで出来ていて、重要な役割を果たしているが、体内での配分は、骨対血液対細胞の比は、1億対1万対1の比率で厳密に維持されている。細胞内のカルシュウムは生体の神経の反応や細胞内シグナルの伝達などに欠かせない役割を持っている。血中のカルシュウムは骨や歯の新陳代謝のために使われてゆくが、血中のカルシュウム濃度が高く、溢れる状態が続くと、本来必要としない場所に沈着してしまう現象が起きてしまう。これを異所性石灰化と呼んでいて、沈着する場所は、血液と共に全身に運ばれているため、至る所で発生する可能性を持つ。

4.体内に沈着し石灰化する主な例

心臓の冠動脈、腹部の動脈、軟骨、腱、肩の関節、乳房、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮、下肢動脈など至る所に石灰化が見られる。

以前から石灰化は加齢と共に高齢者の人達には、誰にでも見られる現象であったが、最近は普通の成人にも散見されるようになり、しかも疾病に結びついていることが起こってきたために、注視され出した。

例えば動脈硬化と言えばコレステロールのアテローム化が血管内に形成されるケースしか、知らなかった、最近では血管内の石灰化が取り上げられていて、高血圧についても、石灰化も危険因子だと説明されている。

次に疾病として重大な心臓の冠動脈の石灰化である。初期の冠動脈の狭窄はバルーンで拡張させたり、更にステントを留置して、血流を確保していたが、高度石灰化した病変ではロータブレーターという一種の小型のドリルのようなもので、血管内部の石灰化したところを削って血流を確保する処置を施すことも行われている。

次に慢性腎臓病や腎臓の透析患者に血管の石灰化現象が見られることや、肩関節が急に痛くなり、整形外科で検査してもらったら、肩関節に石灰化が起きているケースもある。更に特異なケースとして、後縦靭帯の骨化がある。頸椎、胸椎、腰椎の背側に骨化が出来て、強烈な痛みで苦しむという後縦靭帯骨化症の時も、石灰化の一種である。

5.何故石灰化が起きるのか

大きな要因としては、体内のカルシュウムの調整機能がタイミングよく精密に行えないことにあるが、病理学的にも、臨床学的にもまだ研究段階で、諸説があるようで、一般の人にその機序が公にされた本は見当たらない。そこでこの病気に罹る人と罹らない人との違いは、何かという観点から整理すると、次の通りである。

  • カルシュウムの摂取量の多少によってパラドックス化の頻度が増した。
  • 体が酸性体質になっている。過食、肉食、油で処理したフライなど、タンパク質の過剰摂取、甘い物やお酒の摂り過ぎ、ストレス、過労、睡眠不足などによる。
  • 運動不足と血流の停滞。
  • 生野菜や果物の食物繊維の摂取不足。便秘と腸内環境の悪化。
  • 加工食品からのリンの摂り過ぎとマグネシュウム不足。

6.石灰化の対応策はあるのか

石灰化も一種の生活習慣病であるから、次のような生活習慣に改めるのがよいのでは。

  • 食生活は3分づき玄米、生野菜汁、良質のたんぱく質は大豆製品と青魚や白身の魚や小魚、海藻、ゴマ、果物などで少食とする、これで酵素と食物繊維、ビタミン、ミネラルの補給は万全である。また腸内環境も改善される。逆に排除すべきものは、高脂肪高蛋白食品、乳製品。アルコール、甘い砂糖製品。塩分過剰。
  • 運動は体全体を動かして、肺活量増大、筋肉補強、骨格矯正、血流促進、関節の可動域拡大、経絡刺激の自彊術体操が理想的である。
  • 石灰化予防の観点から、適度の水分補給にはきれいな生水を飲む。
  • アーク光線療法によって、ビタミンDの働きを活発化させて、十二指腸で作られるビタミンD依存性蛋白質とカルシュウムが体内に吸収できるようにする。
  • 骨粗しょう症の治療には適度なカルシュウムの摂取は無論の事、体を動かして、骨に適度の負荷を加えなくては効果が出ない。

7.まとめ

1)上皇陛下の心臓手術を担当した天野篤博士の著書「若さは心臓から築く」の中に石灰化という言葉が四か所、47、89、155、211ページに出て来るが、石灰化が致命傷となることも多い。

2)砂糖は灰盗なり、と云って、この強酸性食品が骨からカルシュウムを捻出させて石灰化を招く一番の原因ではなかろうか。その他いろいろ砂糖の害を知らない人が多いのは残念なことだ。

3)学校の給食、老人介護施設や入院時の食事に牛乳が付いている。違和感を持つのは私だけか。

4)最近多くの医者が言っている言葉は、「改善策を実行する前に、今までやって来た体に悪かったことを全て止めることだ」と。病気には必ず原因がある。手順を間違えぬように。

おわり


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