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今回の見開きページは『 皮膚の病気』
9.安土桃山時代(1500年代後半から)
群雄割拠の戦国時代に入ると、各地に現れたのは、武力、知力に優れた武将たちであった。領地をめぐり、闘争が繰り返されていった。1568年織田信長が上洛するまで続いた。その後豊臣秀吉が1590年に天下統一をする。この時代医学の進歩はあまり見られなかった中で、僧から医師に転身した曲直瀬道三(まなせどうさん)は東西の医学の文献に通じ、陰陽五行説に基ずく陰と陽のバランスのとれた食事を、日本の土地で採れる米、魚、大豆、野菜をすすめている。そして「養生は与えられた天寿をまつとうし、生を完成させるために必要なのだ」と言っている。信頼を得て、足利義輝、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、毛利元就、明智光秀などに治療を施している。戦国武将の、上杉謙信48歳で脳出血、武田信玄52歳で胃がん、毛利元就74歳で、死因不明、豊臣秀吉61歳で、死因諸説あり、加藤清正42歳で梅毒で死亡。
この時代、千利休が茶道を確立して,懐石料理が生まれ、そこには「一期一会」の精神が生かされている。一期一会とは、その場その場の出会いを大切にする、という意味である。味噌や醤油の製造がほぼ完成した。
1543年に鉄砲伝来、1549年フランシスコ・ザビエル鹿児島に上陸し、ポルトガル、スペインと南蛮貿易が始まると、野菜・果物類では、スイカ、カボチャ、玉ねぎ、サツマイモ、ジャガイモ、トマト、ホーレン草、イチジク、ブドウが国内で栽培され始めた。天ぷら、がんもどきの油で揚げる調理法も生まれた。お菓子では、カステラ、金平糖、ビスケット、パンが伝えられた。鉄砲、火薬、毛織物、絹糸、香料、白砂糖も入ってきた。
10.江戸時代(1603年から)
1600年関ヶ原の戦いで勝利した徳川家康は江戸に幕府を開いて、285年間続いたその間に、15人の将軍が入れ替わった。
家康の健康法は、普段は麦ご飯に、みそ汁、おかずが1品か2品で、イワシの丸干しや煮付けをよく食べた。加藤清正や前田利家は玄米ご飯を食べていたと記録に書いてある。当時の武士は麦ご飯か玄米を食べていた。白米に比べて玄米は栄養素が豊富で、カリウム、マグネシュウム、鉄、ビタミンB1,B2、食物繊維が抜群に多いから、またよく噛んで食べていたから、健康効果があつた。
因みに家康は73歳で亡くなった。側近として健康アドバイをしていたのが、107歳まで生きた天海僧正だった。家康にすすめたのは粗食で、粗末ではなく、飾らない食事のことで、その土地の、新鮮な食材を使い、あまり手を加えずに、食べるように助言した。家康が体調を崩したときは、納豆をみそ汁の中に入れたものを食べさせたという。家康の死因は鯛の天ぷらによる食中毒と言われているが、胃か食道などの消化器ガンという説もある。
戦争の心配もなくなり、太平の世となったこの時代は、食べて体を作ることから、食べて楽しむ時代に変化してゆく。この変化が今までなかった病気を発生させた。食事の枠組みは、米を主食とし、副食は魚や野菜類を食べるという、米中心の食事方法が定着した。しかし玄米ではなく、白米を食べ始めたために、当時「江戸わずらい」と呼ばれた「脚気」が流行し始めたのである。3代将軍家光は47歳で亡くなり、4代家綱、13代家定、14代家茂が脚気で死亡している。
そして1日に従来は2食だったのが、江戸時代中ごろからは、3食が一般的になった。だから1日3食の歴史はわずか300年しか経過していないのである。そば、てんぷら、握りずし、ウナギなど色とりどりと増えて、店屋、屋台での外食することも増えた。江戸末期には、江戸の町に蕎麦屋が3760軒、すし屋が7000軒以上あった。うどんは好まれなかつた。
この時代には社会制度も代わり、士農工商という身分制度が出来たが、唯一の例外が、医師だった。誰でも何年も修行して、師匠の許可を得れば、医師になることができた。医師は頭をそり、僧の姿をしいた。治療の中心は、漢方薬と鍼で、大陸の伝統医療に日本の風土、体質に合わせた独自のものが発展した。当時江戸の人口は1000万人くらいで世界一になっていた。人も増え、交流も盛んになると、天然痘、はしかが流行、子供の死亡率が高かった。南蛮貿易と共に梅毒が日本に入ってきて、罹る者も出てきた。蘭学を長崎で学ぶ医師もいて、全国から医学を志す人が師匠の門をたたいた。福沢諭吉も緒方洪庵の門下生だった。
1713年に「養生訓」を書いた貝原益軒は大学者で、50年間に98部、247巻の書物を著わした。内容には、「命あることに感謝して、節度お守り、旬のものを、脂っこくないものを食べ、腹八分にすること。また病気でない時こそ病気のこと思え、健康を過信せず、予防を心がけるべきだ・・・」と。1774年に杉田玄白、前野良沢が「解体新書」出版している。ドイツ人が書き、オランダ語に訳されていたものを、苦労して、日本語に訳したもの。1804年和歌山の医師華岡青州が世界で初めて麻酔薬を使って、乳がんの手術を行った。有吉佐和子が小説化し「華岡青州の妻」書いている。
11.明治時代(1868~)
新政府は、当時医学、薬学が進んでいたドイツから明治4年にドイツ人教授を迎え入れ、西洋医学教育を開始した。1876年に東京医学校の教授として招かれたエルヴィン・ベルツもそのひとりで、29年間滞在して、日本の医学発展に貢献した。逸話のひとつに、こんなのがある。草津温泉まで人力車で通っていた時、車夫に、お前は息も切らさず、元気なのは、何を食べているのか。車夫は、玄米とたくあんですと、答えると、肉を食べよと、勧められて、食べたところ、疲れて車が引けなかった、という話。草津温泉にベルツ記念館がある。
明治28年政府は国家試験に合格して、西洋医学の免許を持たない漢方医は医療行為を禁止された。明治から大正にかけて、コレラ、赤痢、天然痘、腸チフス、結核が流行して、多くの人が亡くなった。日本でも大正7年からスペイン風邪が流行して、38万人が死亡している。明治6年に天然痘の予防接種が義務化されている。明治中頃から末期にかけて、注射器、顕微鏡、X線撮影機が輸入されて、医療技術も進歩してゆく。
明治27年日清戦争が、明治37年には日露戦争が勃発。この両戦争において、陸軍では脚気で31800人の兵士が死亡した。一方海軍では軍艦、龍譲と筑波の乗組員709人の内、死亡者25人だった。この件に関して脚気論争が起きた。陸軍の軍医総監の森林太郎(後の森鴎外)は脚気菌による感染症だと判断した。一方海軍の軍医総監の高木兼寛は食事を白米から麦飯やパンに変えた為に、脚気発生防いだ。森の判断ミスで何万人の兵士が戦わずして、白米で命を落とした。その後高木は慈恵医大や初めての看護学校を創設した。
12.大正時代(1912年~)
都市部では食の多様化が進んで、牛鍋、カツレツ、カレーライス、トンカツ、コロッケ、ビール、チョコレート、キャメル、バター、牛乳など洋食が普及し始めた。福沢諭吉は咸臨丸に乗って、アメリカへ渡航して、アメリカ人の食事を体験して、日本人の体格にコンプレックスを持ったのか、帰国後に肉食と牛乳をすすめた。学問のすすめならぬ肉食のすすめだった。
アメリカでは1977年のマクマガン報告による肉食の害を認識し、政府は食生活の改善を進め効果を上げた。一方日本では欧米崇拝の機運が食生活にまで及んだ。食の欧米化は日本人の風土、体質、食性を無視するもので、やれスイーツだ、焼き肉だと、浮かれて、暴飲暴食を止めない限り、病人は減らない。歴史の教訓が生かされていない。2013年和食が日本の伝統的な食文化として、ユネスコに登録された。今の高脂肪、高蛋白の高栄養食が決して健康をもたらしていないことを認識しないのは、何故か。子供の時の学校給食のパンと牛乳で洗脳されたのだろうか。イギリス、ドイツ、フランス、アメリカなどの子供はその国の伝統食を今でも食している。
おわり
第160号 心と体の健康生活:令和 4年 11月 25日発行
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今回の見開きページは『 丈夫な歯は健康をつかさどる』
参考文献 甲田光雄著「 断食博士の西式健康法入門 」より
編集者コメント
「子供の頃から、虫歯の原因は甘いお菓子の食べ過ぎである。時間をかけてしっかり磨きましょう」などと言われてきましたが不思議な事に、しっかり磨いても虫歯になる人・磨かなくても虫歯にならない人がいます。私の周りには80歳を超えても全部自分の歯という人、甘い物が好きで寝る時に飴玉をしゃぶったまま寝ても虫歯にならない人など、色々な人がいます。生まれつき歯の丈夫な人、歯の弱い人もいます。何故でしょう。遺伝も関係あると思います。
甲田先生は「歯の病気は全身病」といわれました。生活習慣が大きく影響するのもうなずけます。歯の隙間には歯ブラシや時には歯間ブラシも必要jでしょう。しかし原因を元から除去することが大事なのですね。虫歯体質を次の世代に残さないためにも、虫歯のできない丈夫な体をつくっていきましょう。
NPO法人健康を考えるづといの会員・岡崎 輝城氏は2022年9月28日で101歳になられた。
本当は100歳の誕生日にお祝いをする筈だったがコロナで一年伸びた。
それにしても101歳とはすごい!
しかもサイパンへ通信兵として兵役も経験した人。
サイパンと言えばバンザイ岬と呼ばれる絶壁での総玉砕で知られる島。
そんな環境下で良く生き残ったものだ。この人の持つ寿命の長さのおかげに他ならない。
サイパンでアメリカ軍の捕虜になりハワイへ収監されたそうだ。
誕生祝の席でそんな人生の苦楽を話してくれた。これは記録に残すべき史実である。
フリーライターの多田さんにも来てもらって、本を書くべく情報収集の場ともなった。
面白かった???のは太平洋戦争でアメリカ軍の主要戦闘機だった「Bー29」に乗ったと言う経験談。
ハワイで病気になり本土のオハイオ州まで飛行機で運ばれた時、乗ったと言う。
日本人でB-29に乗ったのは私くらいなものじゃないかなぁ~の言葉には納得感が満載。
もうひとつ彼のすごいのは終戦後、毎年サイパンで戦没者の慰霊祭に行った事。
4~5年前まで続いたと言う。
今は少し歩行困難となり中断されているが・・・。
私もその慰霊祭に柿茶の亡き社長と同行させてもらった事がある。3回はサイパンへ行っただろうか。
そんな思い出のある岡崎さん、これからも元気で・・・とエールを送りたい。
長生きの秘訣を問われると「水をたくさん飲むこと」「西式健康法を実践する事」だった。
西式健康法を知ったのは昭和15年 坂出市で行われた西式健康法の創始者・西勝勝造先生の講演会を聞いたこと。
今でも自分の部屋に西式の健康法を実践する機械を置いてやっていると言う。
その機械も自分で造ったというから驚き。
↑ 前列中央が岡崎さん。
これからもお元気で!
1.ガン寛解とは
寛解とは根本的な治癒には至らないものの、病勢が進行せずに安定している状態のことをいう。
京都市の「からすま和田クリニック」の院長の和田洋巳博士は、ガンになりステージⅣと宣告された患者でも、ガンを鎮めて長生きできる治療法を開発している、これこそ最良のセカンドオピニオンではなかろうか。今回引用させていただいたのは、和田洋巳博士の著書「ガンを生き抜く最強ごはん」毎日新聞出版2019年発行。「がん劇的寛解」角川新書2022年3月発行。
2.和田洋巳博士
1943年生まれ、京都大学名誉教授。京都大学医学部を卒業、同大学医学部付属病院で呼吸器外科教授など歴任し、退職後2011年にからすま和田クリニックを開設。京都大学に奉職中には、呼吸器外科の専門医として、2000例以上の肺がんの手術を行う。しかし手術を受けた肺がん患者の治癒率は約7割、再発率は約3割と云われている。またガンの病勢に応じて、ステージⅠからⅡ、Ⅲ、Ⅳと進行し、深刻化してゆく。そしてステージⅣになると、もはや標準ガン治療法では、治癒は望めない段階とされている。標準ガン治療法とは、手術、抗がん剤、放射線照射を指すが、かねがね和田博士はこれら治療法に限界やら疑問を感じて、別の方策を研究、模索していた。
3.余命半年の肺がん患者が3年後に現れる
京大病院時代に余命半年と伝えていたステージⅣの肺がん男性患者が、京大退職後に別の病院の外来を担当していた時に、あの時から3年後に現れたのである。驚いて、どうしてあの肺ガンを乗り越えたのですかと、尋ねると、食事療法で治りましたと答えた。その内容はこうだった。
4.がん発症のメカニズム
1)がん発症のメカニズムとは。和田洋巳博士は自ら代表理事となり、「日本がんと炎症・代謝研究会」を設立している。研究で明らかになったことは、がんは食生活などの生活習慣に起因する「炎症」から発症するということだった。
前回の健康情報にも書いたように、慢性炎症はがんの引き金になるほか、多くの生活習慣病の原因にもなっている。例えば肥満の人や糖尿病の人は、そうでない人に比べて、ガンに罹る率が高い傾向にある。
食生活の乱れによって、血管に炎症が起こると、血管壁の肥厚が臓器の慢性炎症を引き起こす。血流が低下して、臓器の上皮細胞の過増殖が起きて、酸素不足と糖不足に陥ると、上皮細胞は自前で生き延びようとして、わずかな糖を細胞の内側はアルカリ性に、外側は酸性にして、その電位差を利用して、エネルギーを産生することで、がん細胞が誕生する。
2)がん細胞は無酸素でも特殊な解糖代謝でエネルギー源を得て、周辺環境を酸性化することって、活動成長してゆく。そして周辺環境の酸性化を維持するために、がん細胞はナトリュウム・プロトンポンフ゜という機能を使って、ナトリュウムを取り込みをして、住環境を整えている。
更に体内には正常細胞の分裂や成長を適切にコントロールしている「mТОR」という物質があるが、ガンを発症している時に、mТОRの働きが昂進されると、がん細胞の分裂や成長も活発になる。その昂進を促進させるものは、インスリンとIGF-1(インスリン様成長因子)である。インスリンはご存知のように大食したときやインスリン抵抗性状態の時に多く分泌される。またIGF-1は肝臓で作られるホルモンであるが、乳製品に多く含まれている。これらの物質ががんを勢いづかせる。
3)がん免疫について。人の体には40兆個の細胞で構成されていて、体内で1日に数千から1万個のがん細胞が発生していると云われている。体内の免疫システムが正常に働いていれば、異常なガン細胞は排除されて、ガンを発症することは無い。がん細胞を攻撃する役割を担っているのが、白血球に属するキラーT細胞やNK(ナチュラルキラー)細胞という免疫細胞である。何らかの理由で免疫力が低下したら、この免疫システムががん細胞に突破されて、ガンを発症する。
5.ガンが住みにくい環境を作るには
1)治療戦略としては、●がん細胞に活動のエネルギーとなるブドウ糖を最小限に抑える。●がん細胞周辺の微細環境を酸性からアルカリ性に変える。●がん細胞促進させる物質、インスリンやIGF-1(インスリン様成長因子)を与えない。●.慢性炎症を鎮める。●がん細胞増殖のための脂肪酸を合成させない。●免疫力を高める。
2)治療目標値としては、●尿のPHを7.5~8以上に。●CRP(C反応性蛋白)値を0.05以下に。
6.食事の基本ルール、これをアルカリ化食と呼ぶ
1)炭水化物は精製されていない玄米などから控えめに取る。
2)塩分(ナトリュウム)の摂取は出来るだけ控える。
3)タンパク質は大豆などの植物性のものや青魚などから摂る。
4)野菜や果物やキノコ類を出来るだけ多く摂る。
5)脂質はオメガ3のえごま油、アマニ油及びオメガ9のオリーブオイル、椿油から取る。
6)牛乳、ヨーグルト、バター、チーズなどの乳製品は摂取しない。
7)牛肉、豚肉、加工肉、人工のトランス脂肪酸(マーガリン)の摂取を止める。
8)梅エキスを積極的に取る。
9)食事以外に、状況に応じて最低限の抗がん剤、丸山ワクチン、高濃度ビタミンC点滴採用する。
7.ガンを生き抜く最強ごはん
著書「ガンを生き抜く最強ごはん」には緊急食、治療食、長寿食別に詳しく献立表が掲載されている。基本はアルカリ食である。主な食品の尿のPHに与える影響度を示す数値が書かれてある。がん治療上摂取してはいけない食品名をいくつか挙げると、白い米、パン等の精製品、肉類、乳製品、洋菓子など甘いお菓子類。ピーナツ、酒,タバコなど。特に乳製品には、がん細胞の活動活性を上げるIGF-1(インスリン様成長因子)が含まれているので、摂取しない。
8.まとめ
1)和田博士は2011年にクリニックを開設以来、4000人の患者を診てきて、その内約2000人のステージⅣの中から、3年、5年、それ以上の期間、寛解、延命した人達の実態の発表である。
2これらの食事はガンだけでなく、生活習慣病の予防、治療にも役立つのであることから考えると、
今日本に生活習慣病で苦しむ一般の人たちの原因が食事に問題が潜んでいることが読み取れる。
3)日本の医療体制には、食事療法を指導できる医師がどれだけいるだろうか。またそんな方針すら
ないのが現状の姿である。だから米国より20年遅れていると言われている。
4)牛乳を飲むな!、体に良くないぞ!、と聞くと、そんなばかな、肉を食べるな!、ケーキを食べるな!、驚いた人は人生一度でよいから、900円の「がん劇的寛解」を読まれるとよいのでは。事実は否定できない。1つの事しか知らない事は何も知らないのと同じ、と哲学者の西田幾多郎は言っている。無知は死を招く。知らぬが仏では済まされない。
おわり
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「次の世代に伝えたい事」欄におにぎりの話が掲載されていた。
ほろりと来るいい話。
1.腸内フローラとは
我々の腸内には100兆個、2000種類以上の細菌が住んでいて、その殆どが大腸に居て、小腸に存在する菌は1万個位と言われていたが、最近腸内細菌が小腸の方へ逆流して行き、SIBO(小腸内細菌増殖症)が起きて、過敏性腸症候群の発症にも関係しているという。ところで腸内細菌は各種群れを成して生息していて、顕微鏡で見ると、色鮮やかなお花畑のように見える事から、腸内フローラと呼ばれている。
健康な腸内では、ビフィズス菌や乳酸菌などの体によい善玉菌と、悪影響を及ぼす悪玉菌、そしてどちらでもない日和見菌が2対1対7の割合で存在している。その総量は大体決まっていて、これら比率のバランスが崩れた時に、体の調子が悪くなったり、免疫力も低下するから、善玉菌の数を減らさないように、よい腸内環境を維持することが大事となる。
2.腸内細菌の主な働き
主な働きは、体内酵素を作る、病原菌を排除する、消化を助ける、ビタミンを合成する、セロトニンやドーパミンの前駆体を脳に送る、免疫力を高める、化学物質や発ガン物質を分解する、短鎖脂肪酸を作るなどである。この中でも特に重要なのは、短鎖脂肪酸を作ることである。
3.短鎖脂肪酸とは
短鎖脂肪酸とは、油脂を構成する脂肪酸の主成分のひとつで、炭素原子が鎖状に繋がっていて、炭素の数が2~3個で構成されたものを云う。因みに我々が普段摂っている食用油のリノール酸、α-リノレン酸、オレイン酸などは、炭素の数が13個以上あり、長鎖脂肪酸と呼んでいる。短鎖脂肪酸には、酢酸、酪酸、プロピオン酸があって、その働きは次の通りである。
4.短鎖脂肪酸を増やすには
これほど重要な役割を担っている短鎖脂肪酸を増やすには、腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖の摂取である。食物繊維には、水溶性と不溶性があり、水溶性食物繊維は水に溶けて、ゼリー状で不要物を吸着して、便として排泄したり、栄養をゆっくり吸収させる性質がある。一方不溶性は水に溶けずに、保水性が高く、大腸で便量を増やして、腸の蠕動運動を活発にし、便通を整える。
水溶性食物繊維は、昆布やわかめなどの海藻類、豆類、サトイモ、山芋、大根、ニンジンなどの根菜類、果物類、モロヘイヤ、オクラなどに含まれている。不溶性食物繊維は、穀物類、ゴボウ、野菜類、大豆、キノコ類などに多い。そして腸内細菌の善玉菌を増やすには、水溶性食物繊維の摂取は欠かせないが、不溶性食物繊維も必要である。従って3分づき玄米食、生野菜汁、海藻類、キノコ類、大豆製品、ゴマ、根菜類の少食がお薦めである。
なおオリゴ糖が含まれている食品は、大豆などの豆類、たまねぎ、 ねぎ、ごぼう、にんにく、アスパラガス、ブロッコリー、カリフラワー、バナナなどに多く含まれている。
問題は、日本人の食物繊維の摂取量が以前に比べて、どんどん減ってきていて、実情は一人平均1日当たり12グラムだが、理想は20グラム前後必要である。
もう一つの問題点は、悪玉菌を増やすような食生活をしないことである。それは大食、高脂肪高タンパク質の動物性食品、油を使った揚げ物や炒め物、砂糖の多いお菓子や飲み物、冷たい飲み物類、お酒類、ストレス、運動不足を改めることである。
更に最近問題となっていることは、食品添加物、農薬、大気汚染などが腸内細菌の良好なバランスを崩壊させているという。添加物の多い加工食品を出来るだけ摂取しないことである。
5.便秘は万病の元
若い女性の方やお年寄りの人に便秘症の人が多いというが、この便秘が腸内環境を悪化させて、悪玉菌の温床となって、腸の保護粘膜も傷つけられ、細胞と細胞の間が緩んでしまい、悪玉菌が出す有害細菌や毒素、例えば未消化の窒素残留物、アンモニア、アミン、硫化水素、インドールなどが腸粘膜から漏れ出て、血管内に吸収されて、全身を巡って行く。この現象を俗に、「腸漏れ」、正式には「リーキーガット症候群」と呼ぶが、これが慢性炎症やあらゆる疾病の原因となってしまう。これら腐敗便を抱えていると、活性酸素も発生するから、その害も見逃せない。
6.プロバイオティクスとは
プロバイオティクスとは、腸内フローラのバランスを改善して有益に働く生きた微生物のことであるが、今ヨーグルトや乳酸菌飲料が体に良いとか、アレルギーに効くと信じて疑わない人も多い。しかし人の腸には100兆個の細菌がいるが、その内25% が善玉菌として計算すると、25兆個となる。ここに乳酸菌飲料に入っている20億個の善玉菌を飲んだとしても、わずか0.008%に過ぎない。また人それぞれ固有の細菌層を持っていて、死ぬまで同じ種類が変わらないから、外来種は住み着くことが出来ない。だから最近の傾向は如何にして在来種を活性化させるかが大事だという。
7.まとめ
1)女性のガンによる死亡原因の1位は大腸ガン、男性は3位となっているが、その要因として挙げられていることは、高脂肪高蛋白の欧米食と食物繊維の摂取不足である。焼き肉、ハンバーグ、とりの唐揚げ、キョーザ、ラーメン、ピザなどのドカ食いする様な食生活が今後も続いてよいのだろうか。肉食、砂糖、アルコール、運動不足、ストレスは腸の5毒である。
2)「腹も身の内」という言葉が有る。暴飲暴食の被害を受けて、悲鳴を上げているのは、わが身の胃腸である。これは「いじめ」である。食べ物の命を受けて、生かされていることに、気付いて節度のある食生活を心がけようではないか。人間の体は一大化学工場である。インプットする食べ物が悪ければ、アウトプットされる製品もまた不良品となる。
おわり
令和3(2021)年4月1日発行 Vol.26
編集・発行:NPO法人健康を考えるつどい
〒762-0011 香川県坂出市江尻町1220 TEL:0877-45-8441 FAX:0877-45-8444
1.日本人の死因のトップスリー
1位はガン30%、2位は心疾患16%、3位は脳血管疾患13%で、この3つで全体の60%を占めている。この内、心疾患と脳血管疾患は血管の動脈硬化が原因とされている。また最近発表された日本人の平均寿命が、男性81歳、女性87歳となった。但し健康寿命の平均は男性72歳、女性74歳となっていて、ここにも動脈硬化による疾病で体の不自由を招いている人が多い。
2.動脈硬化とは
動脈硬化とは、動脈の柔軟性が失われて、硬くなったり、血管の内側にコレステロールが粥腫(じゅくしゅ)、別名アテロームが脂肪の塊となって溜まり、内径が狭くなったりして、血流が悪くなっている状態を言う。更に進行すると、粥腫が破れて、血栓となり血管を詰まらせたり、脆くなった血管が破れたりする。もうひとつの形態は、糖尿病や腎臓の透析を受けている人によく見られるのが、血管の中膜にカルシュウムが沈着して、硬化して、内径も狭くなっているタイプもある。更に小細動脈の壁が厚くなり、内腔が狭くなってしまう細動脈硬化型もある。
3.動脈硬化が原因で発症する主な病気
4.動脈硬化になる危険因子
危険因子は肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙、遺伝的体質などが指摘されている。肥満には、皮下脂肪型と内臓脂肪型があるが、肥満は万病の元とされていて、長生きする人は肥満指数であるBMIが23前後の人で、この指数が高い人、即ち肥満の人は短命であることが統計的に判っている。肥満を象徴する言葉に、メタボリックシンドローム、別名死の四重奏と言って、内臓脂肪、高脂血症、糖尿病、高血圧の4つが揃っていると、動脈硬化が進み、上述した様な疾患に侵される。特に高血圧と動脈硬化は悪循環するから怖い。
叉最近は内臓脂肪が蓄積されていると、サイトカインという一種のタンパク質から成る生理活性物質が作られて、体内の至る場所で慢性炎症を起こし、動脈硬化の誘引になると言われている。
5.動脈硬化の予兆を知るには
国内では健康診断制度が普及していて、動脈硬化に関連する検診項目もあり、血圧、血糖値、中性脂肪、総コレステロール、善玉、悪玉コレステロールなどの数値に異常があれば、診断判定欄に警告が記載されるから、受診医に相談することである。この警告を軽視してはいけない。
6.子供が危ない
いま子供の肥満、動脈硬化、糖尿病、アレルギー疾患などが増加している。我々がまだ小学生の頃を思い出しても、クラスにこんな疾患にかかっている子は皆無であった。香川県が平成30年度に実施した小児生活習病慣予防検診結果の報告書によると、肥満傾向、脂質異常、糖尿病(HbA1cが5.6だった)等を発症するリスクのある子供がそれぞれ約1割以上いたという。これは全国的な傾向で、子供の将来の健康が危ぶまれている。なおHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは過去1か月前の平均的な血糖値のことで、5.2が理想的で、5.5位までが正常値という。
7.動脈硬化問題を取り巻く環境
一番の問題点は日常の食べ物にある。高脂肪、高蛋白の高カロリー主義の欧米食が健康に良いと教育を受けてきた若い母親達が、肉類、卵、乳製品を毎日の食卓に飾ったり、更に甘いお菓子や飲み物が疲労回復に良いと、思い込んでいる限り、動脈硬化は減らない。若者達が焼き肉、ハンバーグ、揚げ物、菓子パン、コーラーなどを日常食としているのは如何なものか。更に輪をかけて、やれグルメだ、スイーツだと、ドカ食いや、お酒のガブ飲みを誇示する番組を放映して、浮かれている。健康倫理感の欠如も甚だしい。日本人には伝統的な日本食が健康食であるのに。
8.動脈硬化の予防策と治療法の決め手
9.まとめ
1)酒は美味いし、ご飯もうまい、体に痛みも痒みも無いと、健康診断で警告を受けても、薬では根治しない事を承知していても、慢心していて、食事療法を実行しない人が多い。
2)肥満や糖尿病の人に長寿者はいない。何故なら血管に欠陥があるからである。
3)動脈硬化で脳疾患や心臓疾患の恐れのある人は、ある日突然発作が起きるから油断は禁物。自分の置かれている状況を認識し、誤食を改めないと、明日が心配である。「昨日まであんな元気だったあの人が」と、よくある話である。賢人曰く「食を制する者は命を制する」。
おわり
1.体を汚染する化学物質
今、我々はいろいろな加工食品を買って食べている。一定の安全面の規制がされているとはいえ、そんな中には化学合成された添加物がてんこ盛りされている。今回は、身近な食品添加物の安全性について検証する。
2.食品添加物とは
食品衛生法によって、使用できる添加物、品質や使用量、食品への表示のルールが定められている。食品添加物は4種類に分けられていて、令和元年6月現在では、指定添加物が463点、既存添加物が365点、天然香料が約600点、一般飲食物添加物が約100点が認定されている。
3.主な化学合成食品添加物の役割と種類
食品に甘味を与える甘味料。食品の色調を調節する着色料。カビや細菌の繁殖を抑えて、保存性を良くし、中毒を予防する保存料。食品に粘り気を与えて、分離を防止し、安定性を向上させる増粘剤、安定剤や糊剤。油脂などの酸化を防ぎ、保存性を良くする酸化防止剤。ハムやソーセージなどの色調、風味を改善する発色剤。食品を白くきれいにする漂白剤。柑橘類などのカビの発生を防止する防カビ剤。パンのイーストの発酵を良くするイーストフード。食品に香りを付けて、おいしさを増す香料。食品に酸味を与える酸味料。食品にうま味などを与え、味を調える調味料。水と油を均一に混ぜ合わせる乳化剤。食品の酸性とアルカリ性の度合いを調節し、品質を良くするペーハー調整剤。ケーキなどをふっくらさせ、ソフトにする膨張剤。栄養素を強化する栄養強化剤など沢山ある。これらの添加物は、我々の健康に害を及ぼさないのだろうか。安い、簡単、便利、早い、美しい、口当たりが良いと、安易に飛びつくのは如何なものか。
4.実態が解からない「一括表示」とは
一括表示とは、何種類もの物質の添加物をまとめて一括表示できるルールがある。これに該当する物には、イーストフード、調味料、香料、酵素、軟化剤、乳化剤、PH調整剤、膨張剤、凝固剤、光沢剤など14グループが一括表示を許可されている。
この制度の問題点は、例えばイーストフードにはじつに16種類の合成化合物があり、どんな種類のものが、どれだけ使用されているか不明だし、調味料については、調味料(アミノ酸等)と表示されていても、グルタミン酸ナトリュウム、アラニン、グリシン、アスパラギン酸などいろいろ問題のある合成化合物が使われていても判らない。PH調整剤にしても、天然には存在しないものが使われていたり、乳化剤にしても、パンやお菓子の保存中の食感を良くするために使われているが、どんな種類のものがどれだけ使われているか全く判らない。
5.食品添加物の危険性
食品添加物の毒性として指摘されていることは、●慢性毒性で、肝臓や腎臓その他の臓器や組織の細胞に影響し、機能低下させる。●発がん性で、遺伝子に傷をつけ、突然変異を起こさせて、細胞をガン化させる。●催奇形性で、胎児に作用して先天性障害をもたらす。●ホルモン攪乱でいわゆる環境ホルモンと言われているが、内分泌かく乱物質として悪作用を及ぼす。
そもそも動植物以外の化学物質をあれこれ化学的に合成したものは、自然の産物である人間にとっては異物である。そんなものが体内に入ってくれば、体内では異常反応したり、生命活動に悪い影響を及ぼすのは当然である。
これらの食品添加物が盛んに使われだしてから、歴史が浅く、明確にその影響を実証できない面が多々ある。今、若年層にガン、難病、奇病が多発しているのと無関係と言えるのだろうか。
特に問題なのは、二つ以上の添加物が体内で反応すると毒性を帯びるものがあっても、膨大な組み合わせとなるため、安全性を検証できないのが実情である。
6.極力避けたい主な加工食品の数々
7.食品添加物から身を守るには
7.食品添加物の一番の問題点
8.まとめ
1)子供は食べ物を選択できない。自然界にない化学合成品の塊のような加工食品やお菓子、飲み物を摂取させて、可愛いお子さんがこれから百歳まで生きられると、思いますか。
2)体の危機管理は食べ物の吟味から始めよう。能天気では済まされない。
おわり
1.タンパク質の摂取基準量
厚労省の摂取基準によれば、一日当たりのタンパク質の必要摂取量は、男性は50g、女性は40gと定められている。この飽食の時代には、大半の人が基準量を超えているとすれば、過剰摂取の害を認識し、予防することも肝要となる。
2.タンパク質とは
タンパク質は炭水化物、脂肪と並んで三大栄養素のひとつである。タンパク質は生命の基本単位で、筋肉、皮膚、毛、骨、各種臓器、血液など全てタンパク質から出来ている。タンパク質はアミノ酸が多数連結してできた化合物で、それらが体内のいろいろな器官や組織などの部分の役割に応じて、存在していて、その数は3万~10万種類あると言われている。しかしその基となっているアミノ酸の種類はわずか20種しかないから、その組み合わせの緻密さと合成方法の複雑さに驚愕する。
3.タンパク質の過剰摂取の害とは
4必須アミノ酸とは
タンパク質を構成しているアミノ酸は20種類であるが、その内の9種類は体内で合成することが出来ないので、食べ物から摂取しなければならない。これを必須アミノ酸と呼んでいる。
これら20種類のアミノ酸は相互関係を保ちながら、バランスを維持しているので、どれひとつ欠けても効果を充分発揮できない。
5.タンパク質の新陳代謝
体内に数万種類もあるタンパク質の寿命は短いものでは数十日、長いものは十数年維持されているが、部位によって寿命があり、分解と合成を繰り返している。タンパク質の細胞内にあるDNA遺伝子の設計図に基づいて、合成され、機能に応じて使いこなせる当初の形に再生されている。
ところが加齢、AGE、熱、低酸素、加圧、紫外線、放射線、薬剤、活性酸素、酵素、栄養素など色々な要因で変性されたり、異質物が蓄積されたりしてゆく。
例えば脊髄小脳変性症はポリグルタミン蛋白質が、アルツハイマー病はアミロイドβが、クロイツフェルトヤコブ病はプリオン蛋白質が蓄積していて、尚且つ神経細胞のタンパク質の変性にも原因があるというが、その詳細はいまだ解明されていない。
6.コラーゲンの異常
肝硬変、肺線維症、動脈硬化、ケロイドなどの線維化疾患はコラーゲンが異常に溜まる病気で、現在のところ有効な治療法がない難病である。コラーゲンの線維化にはヒートショックプロテインの一種が関係しているというが、因果関係の詳細はまだ解明されていない。
体内のタンパク質の30%がコラーゲン線維で占められている。ところがAGEに侵されているとコラーゲン線維の新陳代謝が悪くなり、古いものが蓄積されて残るという。
7.理想的なタンパク質の摂取方法とは
1)タンパク質の摂取基準量を超えない。摂取内容は玄米3分つぎ、大豆製品だけで必須アミノ酸は補える。
最近は運動選手にも食物性蛋白質を摂取する方が良いと云われだした。
2)酵素の豊富な発酵食品、味噌、漬物類、生野菜ジュース、大根や長芋のおろし、果物を摂る。
コラーゲンを生成するには、ビタミンCと酵素の摂取が欠かせない。なお美容のためにコラーゲンの多い食品を摂取
してもアミノ酸に消化分解されるので、叉コラーゲンなる保証はない。
3)控えるものは甘い物、動物性肉類、魚、卵、乳製品、添加物の多い加工食品、冷たいもの。
4)大食はしない。よく噛んで食べる。食事の間隔は最低5時間を保つ。
8.まとめ
1)動物性蛋白質と食物性との摂取の比較疫学調査によれば、食物性蛋白質の方が疾病患者数が少なかった。
動物性と食物性とでは、タンパク質の分子構造が異なり、各臓器への負担も違う。
2)テレビでは毎日やれ焼き肉だ、ステーキだ、ハンバーグだとグルメや大食番組を放映している。これでは生活習慣病は減らない。
3)「タンパク質の一生」永田和宏著 岩波新書の本によると、「タンパク質について知ることは、とりもなおさず生命の営みを
しることである」と。生命の巧妙な営みにタンパク質が関与しているから、日頃から異常なタンパク質を発生させないような
生活態度を心がけねばならない。
おわり
日本ヨーガ道友協会 会長・倉本 英雄 先生の最新著書をご紹介。
心身さわやか 健康ヨーガ
発行:2020年5月15日 森林舎
発売:西日本放送サービス TEL; 087-867-6677
心と体の健康生活:令和2年4月25日発行
■ 発行:健康への道しるべ友の会 編集 増田 桂子
■ 〒420-0962 静岡市葵区東1-14-31、Tel:054-245-8141、Fax:054-245-6142
■ 年間 購読料:2,500円
1.ヒートショックプロテイン(HSP)とは
日本語に直訳すれば、熱ショックタンパク質のことである。英単語の頭文字を取ってHSPと呼んでいる。体内には色々なタンパク質があるが、このHSPとは誰でも持っている細胞内のある種のタンパク質に熱ストレスを加えると、タンパク質の性質が変わり、体に有用な働きをするタンパク質が更に増加する。これをHSPと呼び、健康増進に役立てることが出来る。
2.タンパク質の説明
HSPのことを説明する前に、体にあるタンパク質について説明する。体を構成している成分の約70%は水分で、次に多いのがタンパク質で、18%ある。筋肉も、骨も、皮膚も、爪も、臓器もタンパク質で出来ていて、生命維持に重要な働きをしている。
タンパク質は20種類のアミノ酸がいろいろ鎖のように、複雑に、立体的に組み合わされ、構成されていて、その種類は体内に4万種類ほどあると言われている。その20種類のアミノ酸の内、9種類は必須アミノ酸と言われていて、体外から食事として摂り入れなければならない。残りのアミノ酸は体内で合成されることが出来る。また二つ以上のアミノ酸が結合したものをペプチドと呼び、50以上の集合体をタンパク質と呼んでいる。なお一日のタンパク質の摂取量は男性で60g、女性は50g必要という。
3.ヒートショックプロテイン(HSP)の発見
1962年にイタリアの遺伝学者リトッサ氏は飼育用のショウジョウバエを高温で飼育すると、遺伝子の一部が活性化することを発見した。そしてさらに研究が進み、1970年半ばに熱ショックによって、増加される特異的な蛋白質をヒートショックプロテイン(HSP)と呼ぶようになった。
4.ヒートショックプロテイン(HSP)の特性
前述したように体内のあらゆる細胞の中にある一部のタンパク質に熱ショックを加えると、その蛋白質の性質が変わり、増加して、いろいろ有用な働きをすることが判明した。その働きとは、
5.HSPの研究発展
世界中でHSPの研究が進み、様々な性質、分子量、作用、増加法、遺伝子まで明らかになり、基礎研究から、臨床研究まで進んできて、病気治療や健康法として役立っている。
HSPと言っても分子量によって100種類位あって、大きく分けて8種類、その中でもHSP70という種類が熱ストレスで最も利用効果があるとされていて、以下その健康法を紹介する。
6.伊藤要子博士の加温健康法
伊藤要子博士は修文大学の健康栄養学部教授で何十年もこのHSPの研究、臨床も経験して、最近はNHKその他のテレビにも出演してHSPの加熱健康法を推奨している。関心のある方は著書の「ヒートショツクプロテイン加温健康法」参照。
その方法とは、各家庭にあるお風呂に入浴して実行する方法。
1)湯温40度の場合は20分、41度なら15分、42度なら10分浸かる。
2)入浴後は体を拭いて、保温性の良い着衣を、靴下もはいて、保温する。暑いからと、急激に体を冷やさない。
3)狙いはこの入浴によって、体温を38度まで上げることによって、HSPを増加させる。
4) HSPの増加効果が発現するのは、2日後にピークを迎えるから、この方法は1週間に2回だけ実行する。
5)体力のない人や老人、高血圧、心臓疾患などの持病のある人は、絶対無理をしない事。40度から初めて、胸まで浸かって、
少しずつ時間を延ばして行くと良い。
6)汗をかくので、入浴の前後に水分を補給する。汗と一緒に塩分やビタミンCを失うので、補給することが必要となる。
塩分は食事で、ビタミンCは飲み物として柿茶がよい。但し入浴前に大量の水分補給は血管を圧迫して血圧が上がるので、気を付ける。
7.HSPを増やす入浴法の効果
8.光線療法とHSP
光線療法では温度複写の原理を応用して、近赤外線の波長域の輻射線からの輻射熱によって、体内の深部まで温める加熱作用を利用してHSPを増やすことが出来る。
具体的には専用のカーボン2本を燃焼させて、発生した光線を体に照射させる光線治療器がある。家庭用アーク光線治療器として、利用している人も多い。入浴加熱療法にしろ、光線療法にしろ、誰でも家庭で、容易に実行することが出来るのが特徴である。しかも副作用が一切ない。
9.まとめ
1)昔から日本には温泉の湯治場があって、入浴が病気の治療法のひとつとして、利用してきた歴史があるが、HSPは入浴の回数、
時間、温度を科学的に定めてあり、ただ無暗に入浴回数を多くすればもっと効果があると思って、回数を増やしてはいけない。
2)この加温療法にしても光線療法にしても、全国各地の開業医や整体院などで実行されている。
3)中国の孔子の言葉に、「学んで思わざれば即ち罔(く)らし、思うて学ばざれば即ち殆(あやう)し」と。何事も思い立ったら、
ここ一番の行動力が大切であるということ。
おわり
1.毛細血管の働きが見直されている
体内の血管の総延長は約10万キロメートルある。地球二周半の長さに相当する。その血管の95~99%が毛細血管で占められている。毛細血管は約100億本あるという。そして、今医学界でその働きが健康を左右すると注目されている。あなたの毛細血管ゴースト化していませんか。
2.血液の流れ
全身を流れる血液の総量は、体重の約8%と言われている。60㎏の人なら5リットルの血液が全身を流れている計算になる。心臓から押し出された血液は動脈を通って、段々細くなった小動脈から末端の毛細血管まで行くと、隣接する組織細胞に酸素と栄養分を供給して、戻る時には二酸化炭素(炭酸ガスともいう)と老廃物を受け取り、今度は小静脈から大動脈を通って、心臓に戻って来る。
体には約38兆個の細胞があり、心臓から出た血液が、体の隅々まで行き渡り、また心臓に戻って来る時間は平常時では約1分かかるという。その間に5リットルの血液が一巡している。
3.毛細血管の構造
毛細血管の太さは5~15ミクロン(1ミクロンは千分の1ミリ)で、その中を血液の成分である赤血球、白血球、血小板、そして液体成分である血漿が栄養分やホルモンなどを含んで、流れている。赤血球は7~8ミクロン、白血球は10~15ミクロンがやっと通れる太さである。
動脈や静脈の壁は内膜,中膜、外膜から成り立っているが、毛細血管の構造は、下の図のように、内皮細胞があり、その外側には壁細胞が密着している。
動脈から毛細血管に血液が流れてくると、赤血球の酸素が血漿中に放出されて、血漿が壁細胞から染み出て、隣接する組織細胞の細胞液となる。組織細胞は細胞液から酸素と養分を受け取ると、二酸化炭素や老廃物を細胞液に渡す。そしてその細胞液が毛細血管の壁を通って、血漿となり、静脈に入って戻って行くという、非常に緻密な構造と働きが、わずか一分間の短い時間に展開され、継続してゆく。
4.毛細血管にあるグローミューとは何か
上図の右端の図を参照。小動脈から最先端の毛細血管で細胞との間で一連の代謝をした後、血液は小静脈へと還流してゆくが、実は図示されているように毛細血管の手前にグローミューというバイパスがある。別名動静脈吻合とか、AVAと称することもある。
グローミューの働きは環境の変化に応じて、本能的に血流を確保したり、体温の低下を防ぐために、自律神経が血流をコントロールしてくれるのである。例えば冷たい空気や水に皮膚が触れたりすると、体温を逃がさないように、皮膚の表面の毛細血管が縮む。そんな時はグローミューが開いてバイパスを通って血液は環流してゆくのである。もしグローミューがなかったら、心臓への血液の戻りが遅くなってしまい、体全体の血流システムに支障をきたす。
5.毛細血管の衰え
「人は血管と共に老いる」という名言を残したのは、1900年ごろ活躍したアメリカの医師・ウイリアム・オスラーである。2019年に発行された高倉伸幸著「ゴースト血管をつくらない33のメソッド」毎日新聞出版発行、という本がある。著者の高倉伸幸氏は大阪大学教授で20年にわたり血管の研究に携わり、最近はテレビにも出て、ゴースト血管のお話をされている。ゴースト血管の名付け親でもある。ゴースト血管とは血液が流れにくくなって、壊れやすくなってしまい、老いや病気の原因につながる状態の形骸化した毛細血管のことをいう。
毛細血管の数は加齢と共に減少して行き、例えば皮膚では60~70代の人は、20代の人に比べて、約40%も減少していると言われている。
6.ゴースト血管が体に及ぼす影響とは
血流の悪いところに病気が発生すると言われているように、体の隅々まで血液が流れなければ、どこに、どんな病気が発症しても不思議ではない。例えば、息切れ、便秘、肝機能低下、腎機能低下、むくみ、糖尿病、肺炎、アトピー症、リウマチ、骨粗しょう症、老眼、認知症、ガン、高血圧、動脈硬化、冷え症、シミやシワ、むくみ、疲労など上げれば切がない。
7.ゴースト血管発生の原因
ゴースト化を早める原因には、加齢、運動不足、大食、活性酸素による酸化、AGE(終末糖化産物)、飲酒、砂糖、ストレスなどがある。これ等によって、上述した毛細血管の内皮細胞と壁細胞との密着が緩んでしまい、一連の毛細血管と細胞との代謝に障害が起きる。
1904年に西式健康法を創設した西勝造先生は、その著書「無病長生健康法」の中でこう述べている。「過剰な飲酒は動脈硬化を招き、グローミューは硬化したり、変質したり、開放しっぱしとなる。糖分が過剰になると、糖尿病系となり、グローミューは消失したり、軟化したり、委縮する」と。
8.ゴースト血管予防とグローミューの強化策とは
9.まとめ
中国の古典・大学にある言葉「心ここにあらざれば見れども見えず、聞けども聞こえず・・・」
と。何事も問題意識を持たないと、出会いも出会いであることに気付かないのでは。
おわり
心と体の健康生活:令和2年2月21日発行
■ 発行:健康への道しるべ友の会 編集 増田 桂子
■ 〒420-0962 静岡市葵区東1-14-31、Tel:054-245-8141、Fax:054-245-6142
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今年6月21日にNPO法人健康を考えるつどいが主催する講演会もご案内として掲載していただいた。
↓ 左端の似顔絵は編集者の増田 桂子氏作、上手だ。
1.過食が生活習慣病の元
年末年始に何かと食べ過ぎて、なおかつこの寒い時期には体を動かすことも少なく、体調を悪くしている人も多い事と思う。今年はひとつ何か体に良いことをと、気持ち新たにしている方にお勧めしたいのがのが、食べ過ぎない事です。
2.ひそかなブームとなっている少食健康法
体験したことのない人には、実感が湧かないし、理解するのも困難かもしれないが、一度少食を実行してみると、その効果と爽快さに身も心も生きる喜びが溢れ出て来る。その効能とは、
①自然治癒力が高まる。
②無病、長寿になる。
③便通が良くなり、宿便も排泄される。
④頭脳明晰となる。
⑤睡眠時間が短くなる。
⑥体が疲れず、よく働ける。
⑦長寿遺伝子がオンになり、体質改善され、脳の活動にブドウ糖
だけでなく、脂肪やケトン体もエネルギー源として使われる。
⑧肌がきれいになる。
⑨食費の節約になる。
⑩食品添加物や農薬の口から入る量が減り、その害から身を守る。
⑪食糧、燃料費、調理時間の節約になる。
3.体に備わっているホメオスタシスを狂わすものとは
ホメオスタシスとは恒常性維持機能と訳されている言葉で、人の体には内外の異常に対して、本能的に対処して生命を維持する働きが備わっていることを言う。ところが現代の我々の生活習慣の中には、この働きを狂わすような要素として、腸内環境、自律神経、免疫、血液循環の四つがある。
これら四つの要素に一番大きな影響を及ぼすものは、食習慣である。昔から「腹八分に病なし」という言葉が有るように、健康の根源は食生活にある。
4.少食を実践している人達
皆さんがご存知の人達を列挙すると、ビートたけし、為末大、木村多江、タモリ、水谷豊、Gackt、千葉真一、京本政樹、船瀬俊介、榎本孝明氏などがいる。
特筆すべきは森美智代さんが実践している少食生活である。森さんは1962生まれで、現在は八尾市で鍼灸院を開いているが、ここ20年間も毎日150ccの青汁と少量のサプリメントだけの食事で元気に活躍している。若い頃難病の脊髄小脳変性症を患ったが、当時八尾市で開業していた甲田光雄先生の指導の下に、西式甲田療法を実行して、5年かけて見事に克服したのである。その闘病生活の詳細は、森美智代著「食べない生き方」サンマーク出版の本に書かれている。
5.断食のルーツ
断食は昔から宗教の修行として始まった。キリスト教、イスラム教、インドのバラモン教でも行われてきた。日本でも今から1200年前の平安時代頃から密教や修験道の修行として断食が行われていた。仏教のお寺でも行われていて、千葉県成田山新勝寺で江戸時代に新井白石、松平定信、二宮尊徳、東京帝国大学医学部教授の大沢教授、大正になり小説家の村井弦斎、法学者の今井嘉幸、国立栄養研究所の高比良英雄博士とそこの研究員達が断食をしている。昭和に入って、大阪医科大学の大橋博士、東北大学の久島教授などが、断食を体験、研究している。近年は大阪大学医学部を卒業して開業医として西式甲田療法を確立した甲田光雄博士、現役の医師では石原結實博士が断食に関する本を何冊も出版している。
6.少食には半日断食がおすすめ
前述の甲田光雄博士は開業以来50数年にわたり、二万人以上の患者さんに少食、断食療法を指導して、その成果を「奇跡が起こる半日断食」マキノ出版発行、という本にまとめている。断食について、これを機会に関心を持たれた人はこの本を読まれると、断食に関する全てのことが判りやすく理解できる。生涯に一度はこれらの本を読んで、健康の何たるかを知って、体質改善するのも無駄ではない筈。
7.少食で元気な禅僧
東京のある総合病院の医師が静岡県三島市の竜沢寺の禅僧達の摂取している食事内容を調査したことがある。それによると、禅僧が食べた一日平均の総摂取カロリーは1436カロリーで、タンパク質46g、カルシュウム281mg、ビタミンC24mgなどであった。一方一日の総消費エネルギーは2204カロリーだった。摂取カロリーから消費カロリーを引くと、マイナス768カロリーとなった。
これでは一か月に体重が6キロづつ減少してゆき、一年では72キロ減少する計算になり、禅僧の体重はゼロになって、死んでしまう計算になる。ところが実態は、禅僧達の体格は立派で、心身ともに健康で、病気ひとつせずに、修業に励んでいる。現代栄養学では説明できないのである。人間の体は歴史的にも過食に弱く、飢餓には強い作りになっているから、すぐ適応出来る。
8.まとめ
1)テレビではやれグルメだ、スイーツだのと放映されている。更に大食いを自慢にする番組 まであるのは、如何なものか。放送局の品位が問われる。
2)政府や報道機関が、人生百年時代だと囃し立てているが、良識ある医師たちは、日本の平均寿命はこれからだんだん低下してゆくと予言している。今の若い子供達がとても80歳まで生き永らえるとは思えない。皆さんはどう思いますか。
3)アメリカではここ三年間男女合わせての平均寿命が年々低下して、78歳に落ちた。因みに日本人の平均寿命は84歳である。
4)戦後欧米の高カロリー、高栄養主義に洗脳され、学校給食に馴らされて育った若い親達は 育ち盛りのお子さん達に、焼き肉やハンバーグ、とりの空揚げ、卵、牛乳など濃厚な欧米食を食べさせ、おやつや夜食に甘いお菓子や飲み物を与えて、大人達は酒やタバコの過飲、過食はとても健全な食生活とは思えない。自然界の摂理、体の摂理を無視していないだろうか。
5)我々は毎日の食べ物から命を戴いているのだから、それに感謝しなければいけないし、暴飲暴食をして体をイヂメてはいけない。体の悲鳴に耳を傾けられないような傲慢な態度を改めない限り、生活習慣病は減らないだろう。それには先ず心の宿便を取り、健全な健康倫理感を確立することが肝要となろう。
おわり
1、老化は足から
長寿社会が進み、平均寿命も延びて、男性は81歳、女性は87歳となっているが、ただ気にかかることは、健康寿命即ち介護を受けたり、寝たきりにならずに生活が送れる年齢が、男性72歳、女性74歳と意外と短いことである。そして70歳以上の人が男女合わせて、2751万にも居るから、ここで改めて健康で長生きすることの重要性を再認識する必要がある。
2.足は万病の元
足は万病の元という言葉がある。その意味は足に故障や障害があると、体全身の病気に影響を及ぼしているという事で、今回はいくつかの事例を挙げて、解説する。
3.足の故障が全身に及ぼす機序
右の図を参照ください。
これは西式健康法を創設した西勝造氏が医学文献を参考にして、作り上げた身体故障伝達図である。足の故障は図のように下から上体へと左右交互に及んでゆく。
足の裏の指の付け根付近が痛いのを、発見者の名前を付けて、モルトン氏病という。次に足首の踝の付近が痛いのを、ソーレル氏病というが、例えば右足のモルトン氏病→左ソーレル氏病→右ひざ関節炎→便秘→肝臓→左下胸→右上胸部→左肩→右扁桃腺→左頭部、という具合に全身に影響を与えてゆく。左足にモルトン氏病がある時は、図の点線に従って、ジグザグに上体へ上がって行く。
そこで自分の足指の付け根を掴んでみて、痛みがないか、次に踝の周囲や内外から押してみて、痛みがないか、チェックしてください。足の歪みと云う整形外科担当の疾病が右図のように内科担当の疾病を招いていることを現代医学の医者は知っているのだろうか。現代医学の盲点のひとつである。
4.足の故障と腎臓病
イギリスのツルーエタ博士は第二次世界大戦時に、砲弾で足に怪我をした人を看病していて、その人たちが皆腎臓に障害が出る事に気が付いて、その後動物実験によって、足の故障と腎臓障害の研究成果を発表している。
足に故障がある人はすぐ風邪を引いたり、扁桃腺を腫らすことが多い。これ等の病気を繰り返す毎に、腎臓病も悪化してゆく。最近は慢性疲労症候群の発症にも腎臓が関係しているという。
5.足首の捻挫.
人間は二本足で歩くようになった宿命から、足に故障を起こすことが、生れ落ちた時から死ぬまでに、何度も経験する。その中でもつまずいたり、足を踏み外したり、スポーツをしていて、足首を捻じったり、いろいろ足首の故障を体験している筈である。起きたその時は医者にかかったりして、治療をして日常生活に戻るが、問題は完治していないことが多いのである。即ち痛みがないとか、日常生活に不具合を感じないことを持って、完治と言えないことが多い。
足首は右の図のように、外くるぶし(脛骨)と内くるぶし(腓骨)の間に、距骨(きょこつ)と踵骨(しょうこつ)が挟まれている。足の捻挫は、スポーツや日常活動において、よく起こることがある。その中で多いのが、内返し捻挫である。即ち内側に捻じって、両足の格好はO脚状になる。
踝を構成している骨は関節包で覆われて、その周囲をいくつかの靭帯で補強されている。一口に足首の捻挫と言っても、骨の組み合わせが複雑で、損傷を受けた靭帯や骨を詳しく検査し、適格な処置を受けないと、慢性化して、繰り返し捻挫ぐせになる。痛みがないからと放置しておくと、踝の構造が歪んでしまい、体全体に悪い影響をもたらす。
6.足の相から股関節をチェックする
自然な形で上向きに寝た時の両足の傾きの状態を観察する。正常な形はAの図の、水平線に対して、両足とも60度の傾きのものである。Bの図の左足が前方転位している。C図は右足が少し前方転位している。D図は股関節がぐらぐらになっている。E図は両足とも後方転位している。F図は左足は正常だが、右足が後方転位と内転も加わる。前方転位とは大腿骨の骨頭が寛骨臼(かんこつきゅう)よりも前方にずれていること、また後方転位とは逆に寛骨臼よりも後方にずれているこという。
このように大腿骨の骨頭が寛骨臼にきっちりとはまっていないと、左右の足の長さに差異が出たり、骨盤が上下に傾斜したり、骨盤が前後に捻じれたりする。これらの異常が上半身の背骨や頚骨の曲りを招いてしまう。100人居れば95人の人に股関節の副脱臼がみられると、磯谷公良という先生の「予防医学」という本に書かれてある。
家に例えるならば、基礎の土台が傾いていれば、床も柱も、屋根も傾いてしまうのと同じである。人間の場合はその傾きを全体のバランスを取ろうとして、S字状に上体を曲げながら、最終的には首の曲がりを招く。関節や骨が正しく繋がっていなく、ずれたり、歪んでいると、椎骨と椎骨の間から出ている神経が圧迫されたりして、その神経によってコントロールされている臓器や器官の働きが悪くなってしまい、病気の原因となってしまう。
7.靴底の減り方で病気が解かる
上述したように、足先から首の骨までガタガタに曲がったりしていると、歩き方までおかしくなってしまい、靴底の減り方に特徴が出て来る。底の減る場所と病気になりやすい場所が関係がある。靴底の前の内側が減る人は肝臓が弱いか悪い。前の外側が減る人は心臓が弱い。後ろの外側が減る人は腎臓が弱い。右足の場合は右側の腎臓、左足の場合は左側の腎臓が弱い。後ろの内側が減る人は膀胱が弱い。
8.加齢による足の衰え
筋肉の重量は体重の約40%を占めているが、加齢と共に筋肉量が低下してゆき、特に下半身の筋肉は上半身に比べて三倍のスピードで衰えてゆくという。寝たきり老人になる大きな要因のひとつが、この筋肉量の低下である。筋肉ばかりでなく、骨量も減るし、関節の軟骨も減るし、靭帯も収縮、硬化してゆき、筋力低下し、動作も鈍くなり、歩くスピードも遅くなる。最近は加齢によってもろく弱くなった筋肉をサルコペニアと呼んで、転倒や寝たきりりの原因として、騒がれている。更に認知機能も低下すると、フレイルと呼んでいる。筋肉は適度に使わないと、どんどん減ってゆくことは周知の通りである。
9.何故足が冷えるのか
体の筋肉の70%は下半身半に存在している。そして体が発している体熱の40%以上を筋肉から出ている。今まで運動らしきこともせず、歩くことも少なく生活してきたお年寄りの人は、足が冷えるのも当然の成り行きである。
足が冷える原因として考えられることは、●足の筋肉が少ない。●足の血流が悪い。●日頃から運動したり、体操したり、散歩したりしないので、新陳代謝が悪い。●下半身の骨格が歪んでいる。●ストレスで自律神経のバランスが崩れている。●動脈硬化や糖尿病、低血圧、貧血、甲状腺などの疾患がある。●栄養が偏っている、などが考えられる。
冷える根本的原因は二つある、足の筋肉が少ないと、筋肉の収縮と拡張作用によって血液を心臓へ戻す還流力が衰えて血流が悪くなる。更に足の毛細血管が加齢に加えて、動脈硬化や糖尿病などの人は、硬化したり、消滅していて、還流量が減る。
10.丈夫な足を取り戻すには
1)扇形運動
右の図の右側の方の絵を参照。足先、足指の付け根の部分の炎症(モールトン氏病)を治す方法で、例えば右足の場合は、右手で右足の足首を外側から握り、左手でかかとを掴み、両手の調子によって足先を横に振り動かす。
2)上下運動
右の図の左側の方の絵を参照。足のくるぶしの炎症(ソーレル氏病)を治す方法で、例えば右足の時は、右手で足首を握り、これに左手を持ち添えて、足先を上下に振り動かす。なお下肢を水平に保持すると振りやすくなる。
3) 毛管運動
毛管運動とは仰向けに寝て、首に枕を敷き、両腕と両脚を垂直にあげ、痙攣させるように細かく微振動させ、毛細管現象を引き起こさせる運動で、これによって、血液は円滑に心臓に戻り、かつ手脚の毛細血管からは血液が足りない状態になるため、手脚の側からは血液を引っ張る力が生じて、毛細血管の働きが強化される。1~2分行う。右図参照。
4) 合掌合蹠運動
合掌合蹠運動とは、平床などの上に仰向けに寝て、両手を胸の上で合掌させます。蹠とは足の裏のことだから足裏も同様にぴったりと合わせて、膝を曲げて開き、手と足裏を合わせたまま手と足を前後に縮めたり伸ばす往復運動を十数回行う。終わったらそのまま手足を合わせた姿勢で2~3分間安静を保つ。朝夕1回ずつ行なう。右図参照。
合蹠は、正しい姿勢の基本である股関節、骨盤の歪みを矯正し、更にふくらはぎと内転筋の筋肉を強化することにより、下半身の血流を旺盛にし、へそから下にある腎臓、膀胱、生殖器などの機能を改善する。スクワットに比べて、姿勢が崩れないのでよい。
5)足首上下運動
右の下の図のように、仰向けに寝て、アキレス腱のちょっと上の場所を25cm位上げて、力を抜いてストンと、丸い棒の上に落とす。片足25回ずつ、合計200回から始める。一日に二回行う。
慣れてきたら500回位行う。丸い棒は直径6~8cm位の丸太か竹筒みたいなものに、タオルを巻きつけて、両端をゴムバンドで留める。
長さは30センチ以上にする。この運動で足の血流が良くなり、むくみや冷えも解消する。
6)散歩する。または足踏み体操をする。
いままで余り歩くことも、上述したような体操をしたことがない人は、一日に20分くらい散歩することから始めたらよい。雨の日は部屋の中で、膝を高く上げて、足踏み体操すると良い。足を動かさないとドンドン筋肉が衰えてゆく。
11.足の故障を招く悪い生活習慣
いくら体に良いことを実行していても、一方で次のようなことは慎んでほしい。ハイヒールを履く。横座りする。椅子に足を組んで座る。足に合わない窮屈な靴を履く。肥満。便秘。
12.その他の注意事項
■ 質の良いサラサラな血液を作ることも大事である。ビタミンCやEが含まれた食品を摂る。
良質のたんぱく質として、大豆製品、白身の魚、とりのささ身やむね肉を適量摂取する。同時に生野菜ジュースも飲み、栄養のバランスも考える。
■もうひとつの足首の故障の原因として、甲田光雄著「背骨の歪みは万病のもと」という本によると、二本足で重い体重を支えて行動することは、複雑な踝の構造からして、当然故障が起きやすいが、それを助長するのが、食べ物の誤りだと指摘している。甘い砂糖類、お酒、大食、食塩の摂り過ぎが悪いという。二万人以上の患者の治療経験からこのことを確認している。
もうひとつの指摘は、食べ過ぎを続けたり、食塩を摂りすぎていると、アキレス腱が硬くなって縮んでいる人が多い。そして炎症を起こししているから、強くつまむと痛い。これをアルバート氏病と云う。このアキレス腱の異常から椎間板ヘルニアが起こり、更に坐骨神経痛が出て来る人が多いことも経験している。こんな人は少食にする食事改善も大事だという。
13.まとめ
足は第二の心臓と言われる由縁は、足が健全でないと、足から心臓への血液の還流が滞りがちとることから、全身の血液の循環も制約されて、血流のバランスが崩れて、万病の元となるのである。これを機会に今一度脚下照顧を。
おわり
1.日本人の体質とは
最近の科学の進歩で人間の遺伝子に関して、2016年に日本人の標準的な遺伝子配列が解明された。今回は医学的な、遺伝子構造の面からみても、日本人に適した健康法とは何か。
2.福沢諭吉の「肉食之説」
福沢諭吉は生涯に三度欧米に行っているが、欧米人の圧倒的な体格を羨ましく思ったのか、彼らが常食している肉を食べれば、活力源になって、より健康的な体を作り上げることが出来ると思って、「学門のすすめ」ならぬ「肉食のすすめ」という一文を書いている。その一部を意訳すると、「・・・今わが国民は肉食をしない為に、体の活力を落とすものが多い、これは一国の存亡である・・・、肉と牛乳を摂るべきだ・・・」と。人種の「るつぼ」と言われているアメリカでは、人種別の医療が行われていて、遺伝的な体質に応じた適格な治療体制がある。
3.遺伝子解明で分かったある縄文人の体質の最新記事
2019-5-14付の新聞に、北海道の礼文島の遺跡から発掘された約3500年前の縄文人の女性の人骨の大臼歯からDNAを採取して、解析した結果が報道された。それによると遺伝的特徴は、瞳は茶色、髪の毛は細く、アルコールへの耐性が強く、高脂肪食に適応した体質であるという。
4.DNA、ゲノム、遺伝子とは
1)DNAとは体の設計図とも呼ばれ、人間の体にある40兆個の細胞のひとつ、ひとつに存在する「デオキシリボ核酸」の英語の略語である。DNAは細胞の核の中にあり、器官や臓器、身体的特徴などがその人特有の配列に従って作られている。
2)ゲノムとはDNAのすべての遺伝情報のまとまりのことを意味する。
3)遺伝子とはDNAのある一つの配列をいう。
5.日本人はどこから来たか
ミトコンドリアやDNA解析から解かった現在の日本人は下記の7のグループに分類される。グループ名、人数比率、出現場所と渡来経路の順に示す。但し種々学説があり、その一例に過ぎず。
1) D 37% 東アジアに出現、朝鮮半島から、
2) B 14% 中国南部に出現、環太平洋・南西諸島から、
3) M7 13% 中国山東半島に出現、南西諸島から
4) A 7% バイカル湖周辺に出現、朝鮮半島から、
5) G 7% カムチャッカ半島に出現、サハリンと朝鮮半島から
6) F 5% 東南アジアに出現、
7) N9 7% 北方を通って東アジアへ到達
この資料は「ミトコンドリアのかたち」瀬名秀明、太田成男著による本からのもの使用。
6.標準的な日本人が持つ遺伝的体質の特徴
体質とは何か
7.日本人の体質、生活環境に適した健康法
1)和食が良い。出来れば3分づき玄米食、おかずは小魚、青魚、海藻、大豆、ゴマ、生野菜、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ、長芋、大根などの根菜類、味噌汁、漬物類、季節の果物などを少食する。要するに身土不二で身近に採れる新鮮なもの。
2)日本列島に病人が溢れているのは、高脂肪、高蛋白の欧米食の過食とお酒と甘い飲み物、お菓子の飲み過ぎ、食べ過ぎに原因がある。この悪しき食生活を改めない限り病人は減らない。
8.まとめ
1)どこの先進国の子供に、自国の伝統食を放棄して、パン、ラーメン、スパゲティ、獣肉、牛乳などを食べさせている日本のような国があろうか。日本の食は崩食してしまった。
2)今政府はこれから人生百年時代到来と、囃し立てているが、七十歳過ぎの団塊の時代の人達が死んでいなくなった後は、日本人の平均寿命は80歳どころか70歳以下になるだろうという。疑問に思う人は「日本人はもう55歳まで生きられない」石原結實著を読まれると、日本人滅亡のリスクが迫っている実態が解かる。
おわり
心と体の健康生活:平成31年1月30日発行
■ 発行:健康への道しるべ友の会 編集 増田 桂子
■ 〒420-0962 静岡市葵区東1-14-31、Tel:054-245-8141、Fax:054-245-6142
■ 年間購読料:2,500円
1、認知症が増えている
今日本に65才以上の人が3500万人いる。そして65才以上の高齢者で認知症の人が460万人、軽度認知症(MCI)が400万人いるという。いかに認知症の人が多いかが解かる。平均寿命が延びるのは結構な話ではあるが。認知症になる人とならない人の違いは何だろうか。
2、認知症の種類
認知症の主なものは、4種類あり、アルツハイマー型が60%を占め、脳血管性が15%、レビー小体型が15%、ピック病が5%占めている。しかし別の報告ではアルツハイマー型が更に増えて68%を占めているという。
3、認知症の症状
どんな原因から発症した認知症でも、中核症状といって、四つの症状が知的機能の低下によって現れる。
★覚える能力が衰える記銘力障害
★覚えたことを忘れる記憶力障害
★簡単な計算ができない計算力障害
★人や場所の見当がつかない見当識障害
上記に付随して起こる症状としては、人によって異なるが、次のようなことがある。
★自覚性の低下で依存心。
★うつ状態。
★意欲の減退。
★不安感や焦燥感など情緒障害。
★暴言や暴力など人格の変化。
★話さない。
★妄想。
★幻覚。
★徘徊。
★食行動異常。
★睡眠障害。
4、三大認知症の原因
最近は検査機器や検査方法が進歩して、どのタイプの認知症か、以前よりもその原因も明らかになりつつある。
★アルツハイマー型認知症が一番多いので、簡単にその発症のメカニズムを説明
すると、50歳前後から脳にβ-アミロイドというタンパク質の蓄積が始まり、
60~65歳ころから神経原線維の変化や神経細胞の脱落が始まり、老人斑という
シミが出来る。
その後「リン酸化タウ」と呼ばれる物質が蓄積し、脳神経の原線維変化と呼ばれる
繊維状の塊が出来て、これが蓄積すると、毒性を発して、凝集することによって、
やがて神経線維が死滅してゆく。
次に70歳ころから、脳の海馬周辺に病変が発生して、軽度認知症(MCI)と診断される
状態になる。
さらに80歳前後から大脳新皮質にも進行して、アルツハイマー病と診断される。
これらを発症する年齢や進行度合いや症状の程度は当然人によって異なるが、
自覚症状がなくてもその始まりから認知症と診断されるまでの期間が20年から
30年と非常に長いことである。
★脳血管性認知症は動脈硬化が進み、脳卒中などで、脳の神経細胞が破壊されること
によって、発症する。
★レビー小体型認知症は大脳皮質などの神経細胞にレビー小体という特殊な物質が
溜まり、細胞が死滅する病気である。
5、三大認知症の症状
1) アルツハイマー型認知症
★初期的症状
・少し前のことを忘れがちになる。
・話の内容につじつまが合わないことが多くなる。
・些細なことに腹を立てるようになる。
・意欲がなくなって、うつ状態になる。
・「お金が盗まれた」など、ありもしない妄想をする。
★特徴的なことは、
同じ話を何度も繰り返す。化粧、料理、買い物をしなくなる。日付、曜日、住所がわからなくなる。食事をしたことをすぐに忘れる。外を徘徊する。
2)脳血管性認知症
★初期的症状
・物忘れが多くなる。
・頭痛や手足のマヒ、しびれを訴えることもある。
・感情の起伏が大きくなる。
★特徴的なことは、
・高血圧、糖尿病、心疾患といった脳の血管に影響を及ぼすような持病がある。
脳卒中を起こした後に発症することが多い。泣きじょうごになったり、
怒りぽくなったりする。夜になると感情の起伏が激しくなり、別人のような行動
を取ることがある。
3) レビー小体型認知症
★初期的症状
・物忘れがひどくなる。
・「壁に虫がはっている」など、実際には存在しないものが見えるようになる。
・表情が乏しくなる。
・風邪薬を飲んだだけで寝込むなど、薬に敏感になる。
★特徴的なことは、
・表情が乏しく、無口になり、前かがみで、腕を振らずに歩くようになる。
薬に敏感になり薬を飲んだ時に、激しい吐き気を催したら、レビー小体型認知症
の疑いが濃い。
6、その他の認知症の種類
★ピック病(前頭側頭型認知症)、アルツハイマー型と脳血管性の混合型、慢性硬膜下
血腫、正常圧水頭症などがある。
7、アルツハイマー型認知症の治療法
★薬物治療法としては、
・神経伝達物質であるアセチルコリンの量が低下するのが発症原因とする説に
基づき、アルツハイマー病の進行を遅らせる薬として、製品化されたのが
「アリセプト」(ドネペジル塩酸塩)である。しかしその効果は進行を遅らせるに
留まる程度で完治は難しいようだ。
・その後治療薬開発の焦点は、如何にしてβ-アミロイドの蓄積を抑制させるか、
あるいはリン酸化タウの凝集を抑えることが出来るかなど、いろいろな観点から、
研究が進められているが、アルツハイマー病を根治させる薬の開発までには至って
いないようだ。
8、認知症の非薬物療法
薬に頼らない非薬物療法も重要な治療法として、認められている。例えば、
・音楽療法では、楽器をたたいたり、歌を歌ったり、好きな歌を聴くなどして、
脳を反応させる。
・回想法では、過去の思いでを蘇らせたり、会話によってたのしさを引出し、
情緒の安定をはかる。
・運動療法では、理学療法士の指導の下に、自立心を養い、体力を付けて、脳を
始めとして、血流を促して、精神的安定を図る。
・美術療法では、絵を描く、造形物を作るなど創作活動によって、五感を刺激して、
認知機能の改善を図る。
・アニマルセラピーでは、生きている動物と接することによって、動物に対する愛着
や優しさを持つことで、情緒を安定させる等いろいろ行われている。
以上、非薬物療法もいろいろある。
9、認知症を防ぐには
どんな病気にも言えることだが、「予防に勝る治療法はなし」という文句を切実に感ずるのがこの認知症の場合である。というのはそもそも何故脳にβ―アミロイドやリン酸化タウが蓄積するのか、明らかにされていないから、予防法の方策が見つからない。
ここでは認知症の予防に効果があると言われていることを列挙すると、
★ボケない生活習慣とは
・バランスの良い食事をする。魚や野菜をよく食べる。少食にする。
・便秘しない。腸内環境を良くし、免疫力を高める。
・体をよく動かす。散歩や運動をする。
・夢中になる趣味がある。知的活動で、脳の血流をよくする。例えば楽器の演奏、
囲碁や将棋、日記をつけるなどする。
・友人がいて、外出したりして、人とおしゃべりする。
・生きがいや夢持ち、前向きな気持ちで生活する。
・ストレスを溜めない。いつまでも悩みを抱えない。
・人を頼りにせず、自分で出来ることは自分でする。
★体に悪い生活習慣とは
・大食する。高脂肪高蛋白の食事。喫煙。飲酒。甘いものを沢山食べる。
・食品添加物の入った加工食品を摂っている。
・便秘や宿便があると、腸内の炎症を起こして、リーキーガットと言って、
ただれた腸粘膜から未消化の異物や毒素が血中に入り、体内のいたるところに
炎症を起こす。
・歯周病があると、口内細菌が全身を巡り、脳細胞にも炎症を起こす。
・趣味などなく、テレビを見て、家に閉じこもっている。
・睡眠不足であると、脳細胞のタンパク質の代謝が不全になる。
・体を動かすことが少ない。運動しない。
・いろんな人達と交流しない。家族から離れて孤独感を持っている。
・いろんなことに興味を示さない。進取の精神に欠けるから、廃用性の法則が働き、
脳細胞が怠けだす。
・生きがいや生涯の目標を持たない。
・いつも何かストレスや悩み事を抱いている。
・姿勢が悪く、体が歪んでいる。
・認知症を促進させるような持病がある、例えば、高血圧、肥満、甲状腺低下症、
動脈硬化、糖尿病など。特に糖尿病の人はそうでない人に比べて4.6倍認知症
になりやすい。
・他の病気の薬を服薬している。
★その他最近話題になっている治療法や予防法を列挙すると、
・水分を充分取る。
・イチョウの葉のエキスを摂る。ドイツでは有名で脳血管性の認知症に効果あり。
・玄米に含まれているフェルラ酸が老人斑の形成を抑える。
・活性酸素やAGE(終末糖化産物)を発生させるような生活習慣を改める。
・ウコンに含まれているクルクミンに抗アミロイド生成作用がある。
・少食や断食による効果はすごい。
即ち、便秘や宿便を解消し、腸内環境を整えることによって、腸の粘膜のただれが修復されると、消化不良の異物や毒素も血中に取り込まれることもなくなり、体内での炎症も収まる。また血中に入った毒素によって脳神経の働きが鈍り、脳の血管を膨張させていたのが解消されて、脳の働きが活性化する。
更に効果的なのは少食や断食によって、体内の全細胞に飢餓感を与えて、細胞の宿便ともいわれるカスや老廃物が清掃される。即ち脳細胞や神経組織に蓄積されていた毒素も自己融解してゆく。
従って便秘や宿便が無くなった後の腸内では少食でも以前より効率よく食べ物が吸収されて、綺麗なサラサラな血液が体内に循環することになる。
・認知症予防に良い食べ物は、玄米少食にし、活性酸素を抑えるビタミンB、E、C
の多い食品、DHAの含まれる青皮の魚、大豆製品、ゴマ、海藻、生野菜ジュース
など。
10、まとめ
1)認知症になりたくない人は、たばこ、酒、甘いもの、大食、高脂肪高たんぱく食、
運動不足、知的活動不足はタブーである。この病気の恐ろしさは30年前後経過
してから発症するから如何に日頃の生活態度が重要かを認識しないといけない。
2)今回あげたような症状が出たら、すぐに専門医に診てもらい、初期の段階で対策を
講じれば、進行を止めたり、治療することもある程度可能な時代になってきて
いる。
3)厚労省の調査では、2025年には700万人の認知症患者が発生すると予想して
いる。こんなに増えては、本人はもとより、それを介護する人も大変である。
4)一番の問題点は厚労省も個人一人一人もこの認知症のことについて、何ひとつ
具体的な予防のための歯止めの行動を起こしていないことである。
おわり
講演会の翌日は遠方から来たお客さんを観光案内へ。
今年は小豆島へ行くことに。
昔は春のオリーブマラソン、秋のタートルマラソンに毎年参加していたから年に2回は訪れた島だった。
今はマラソンを止めてもう 5~6年になるから、久しぶりの小豆島訪島。
高松港から出航して約一時間で土庄港に着いた。
前にはなかった大きなオリーブの葉をモチーフにしたモニュメントがあった。
いつできたのだろう?
観光スポットはいろいろあれど、まずは寒霞渓へ行こうという事になった。
車を走らせていたら、白い巨大な観音像が見えて来た。
予定にはなかったが、あまりに迫力満点で、立ち寄る事にした。
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この像は小豆島大観音佛歯寺と云うお寺にあり世界一美しい観音様といわれ、
別名を「幸せ観音」と言うらしい。
↓ この観音様について、ウキペディアから
スリランカの仏教聖地・キャンディに位置する佛歯寺(ダラダー・マーリガーワ寺院)から
1985年に釈迦の犬歯を寄贈されたのをきっかけに、大観音像を建立。
1994年に竣工、1995年に公開された。
大観音像の高さは明らかにされていないが、約50~60mといわれる。
胎内には本尊をはじめ、寄贈された約1万体の胎内仏が並ぶ。
エレベーターで胎内を登ると、仏歯を納めた仏歯の間に至る。
ここからは瀬戸内海や岡山港を望むことができる。
せっかく来たのだからと、胎内に入る。
エレベーターがあって、あっという間に観音様の胸あたりにある展望窓がある部屋に至る。
曇りはじめていて景色は今一だったが紅葉の様子が一望できた。
観音様を後にし、紅葉たけなわとまではいかない赤や黄色の木々をかいくぐり寒霞渓へと辿る。
ロープウェイの山頂駅には月曜日というのに結構な観光客で賑わっていた。
↓ 国立公園・寒霞渓を少しご紹介
寒霞渓は「日本三大渓谷美」のひとつと称され、東西8Km,南北4Kmにわたり奇岩怪石がひろがり、春の新緑,夏の深い緑,秋の紅葉,水墨画を思わす冬と四季それぞれの色合いとのコントラストは他に類を見ない素晴らしさです。
また、ロープウェイで片道5分の空中散歩によっても渓谷のすばらしさを堪能できます。
↓ 寒霞渓山頂の紅葉
空中散歩もしたいとのご希望で、ロープウェイに乗ることにした。
ロープウェイで山頂から下ってまた上る経験は初めて。
↓ ロープウェイから見た風景
↓ ロープウェイ 「こううん駅(紅雲亭)」に到着
寒霞渓の紅葉を満喫できた旅でした。
1.飽食を見直す時
飽食が当たり前になってしまい、少しも違和感を覚えない人たちが増えている。毎日殿様のような食事を摂っていると揶揄されているが、こんな食習慣が改まらない限り、病院に溢れている患者は減らないだろう。体はどんどん入ってくる食べ物の処理に、酷使されて、悲鳴を上げ、疲弊してしまい、体のいたるところに病巣が生じる。
2.卑弥呼は何を食べていたか
卑弥呼が邪馬台国の王位に就いたのは西暦188年頃と言われている。当時の中国は後漢から三国志の時代になっていて、魏の国へ使者を派遣して、魏からも日本に使節団が来て、20年も滞在していたとあり、中国や韓国の食文化に関する知識も得ていたようだ。
稲が普遍的に栽培されたのは、紀元前400年頃の弥生時代で、既に卑弥呼の時代の人々の食生活はといえば、主穀は米とアワで、それを補うようにクリ、シイ、トチ、サトイモを食べて、副食は大根、カブラなど菜っ葉類、ウリ類、シカやイノシシ、ウサギの肉、魚介類はタイ、スズキ、アジ、イワシ、アワビ、ベラ、メバル、サメ、フナ、コイ、アワビ、サザエ、ハマグリ、エビ、タコ、ウニなど、海藻ではワカメ、アラメなと、果物では桃、柿、梅、くるみ、外に山芋、キノコ、その他の山菜類などを煮たり、焼いたり、干したり、塩漬けにしたり、生で食べたりしていた。食事回数は一日に2回だった。
結論として、古代の食物と現代の食物との大きな違いはみられない。むしろ現代よりもさまざまな食物を生きるために食していた。栄養的にも現代よりもバランスが良かった。当時の古墳からの出た骨を調査した結果では、65歳位の人達が30%以上いたというから、決して短命ではなかった。衛生状態も悪く、厳しい自然環境の中で生き抜くのに、逞しい体力を維持していた。
3.日本人には日本人の体質がある
アメリカには人種差医療が行われている。即ち人種のるつぼと言われているアメリカでは、その人種の体質に応じた適切な医療制度があるという。日本は島国であり、固有の言語、生活習慣、食べ物が独自に何千年も続いてきた。皮膚、目、髪の毛の色も、体格などの外見ばかりでなく、筋肉の赤筋、白筋の着き方も、体温も、アルコールや乳製品の分解酵素の種類も、インスリンの量も、腸内細菌、胃の形も欧米人とは異なっている。日本人には日本人の体質や環境に応じた食生活がいま求められている。さもないと生活習慣病は減らない気がする。
4.食べ物の消化の流れ
日頃あまり気にすることもない、食べたものがどのように消化、処理されていくかを簡単に説明すると、食物を口に入れると、唾液によって分泌される唾液アミラーゼという酵素によって、炭水化物の消化が始まる。ゆっくり、よく噛むことによって、多く分泌される。
次に適度に砕かれて、食道を通過して胃に入ると、胃酸とペプシンという酵素が分泌されて、タンパク質を消化し、混合されて、ドロドロ状態で小腸へ向かう。
小腸では膵臓から分泌されるタンパク質分解酵素のトリプシンやキモトリプシン、炭水化物分解酵素のアミラーゼ、脂肪分解酵素のリパーゼなどにより、食べ物の栄養素は分子レベルにまで分解,変換されて小腸の腸壁の吸収細胞から体内に入って行く。
その後大腸へ移動し、水分と電解質の吸収が行われた後、体外へ排泄される。電解質とは水に溶けると電気を通す物質のことで、イオンともいう。
要するにどんな栄養価の高い食べ物を食べても、糖質は単糖類に、タンパク質はジペプチト゛やアミノ酸に、脂肪分はグリセリンと脂肪酸に分解されなければ、体内に吸収されないし、栄養にもならない。これら一連の消化作業がスムーズに行われているか、どうかで、健康が左右されるのである。
5.消化液の一日当たりの分泌量
唾液→1.5L
胃液→2L
胆汁→0.5L
膵液→1.5L
腸液→1.5L
なお胆汁は肝臓で作られて胆嚢で濃縮され、十二指腸へ分泌されて、脂肪酸を乳化させて、小腸での消化と吸収を手助けや、腸の蠕動運動を促す働きをする。
腸液は腸腺・腸粘膜上皮より分泌される消化液で、ペプチダーゼ・インベルターゼ・マルターゼ・ラクターゼなど各種の酵素を含み、食物を完全に消化する働きをする。
このように大量の各種消化液が体内に入った食べ物を消化、吸収させるために分泌されているが、これらはただの液体ではない。それぞれこの消化液を作るための腺や器官が質や量をセンサーで探知し、調節しながら、産生しているのである。正に超精密な化学工場である。このことを考えると、ムヤミヤタラニ暴飲暴食して体を苛めてはならぬ。感謝し、体をいたわらねばならない。「腹も身の内」で、これが大事な体の健康倫理感なのである。
6.食べ物の消化時間
食べた物の種類によって、胃での滞留時間が異なっている。
・果物「約20〜30分」
・野菜「1〜2時間」
・炭水化物(白米、パン、麺類など)「約2〜4時間」
・タンパク質や脂肪(肉、魚、卵、豆類など)「約4〜6時間」
但し大量に摂取すれば、滞留時間はこれよりも長くなる。従って食事間隔は最低でも5時間以上空ける。間食はしない。夜食はしないのが理想的である。
7.消化に要するエネルギー量
一日3食を消化するのに要するエネルギーはフルマラソンで消費するエネルギーに匹敵するという。約1600キロカロリーだそうだ。よく朝からしっかりご飯を食べて、昼も夜も栄養を付けて、病気にならないようにと、努力している人が多いが、果たしてそれでよいのだろうか。逆に体は過剰な食事量を処理するために、後ろ向きの仕事をさせられていて、とても明日への体力維持や向上のために、エネルギーに余力が残っているのだろうかが、懸念される。
8.人体の生理リズムの話
自然の法則に基づいて体の生理リズムが出来上がっている。一日24時間を三つに分けて、体は働きが分かれている。
1)朝4時から正午までは「排泄」の時間
2)正午から午後8時まで「栄養補給と消化」の時間
3)午後8時から午前4時まで「吸収と代謝」の時間
だから朝はなるべく食べない方が良いが、長年の習慣で実行が難しけれは、徐々に食事量を減らしてゆくとよい。朝は水と野菜ジュース位に留めるのも一法である。よく朝ご飯をしっかり食べないと、脳に糖分が行かず思考力が低下するとか、体に力が入らないとかいう人がいるが、そんなことは無い。今まで朝ご飯を食べていた人が急に食べるのを止めると、体はその習性が抜けきらない為に脱力感、めまいなど反動が出るが、一か月もすれば体は対応して、逆に頭脳もすっきりするし、元気になる。今まで何万人もの人が体験、実感している話である。そして上述した1日の体の摂理が順調に働くようになる。
9.タンパク質の過剰摂取の害は怖い
日本人の一日のタンパク質摂取基準は成人男子で50g、成人女性で40gとなっているが、あなたは摂取オーバーか、それとも不足していると思いますか。タンパク質は体の中で一番多く存在し、多くの重要な働きをしていているから、不足してはいけない。しかし現代人は一般に過剰摂取しているから、過剰摂取の害をぜひ知っておかねばならない。その害とは、
1)腸内環境の悪化。大量のタンパク質は消化不良を起こしやすい。腸内で異常発酵したり、悪玉菌が増えてしまう。臭いおならが出たら要注意である。窒素残留物即ち、スカトール、インドール、アミン、フェノール、硫化水素、アンモニアから、ニトロソアミンという強烈な発ガン物資を作り、病根の元となる。
2)蛋白質の消化分解の過程で、窒素やアンモニアが副産物として発生する。それを更に分解するために肝臓や腎臓が二度働きを強いられるため、エネルギーを多く消費するし、臓器は疲弊する。
3)タンパク質の消化分解時に体液が酸性化する為に、体は弱アルカリ性に戻そうとして、体内のカルシュウムを動員する結果、カルシュウム不足になる。
4)タンパク質と砂糖が体内で合体して、終末糖化産物(AGE)となり、あらゆる生活習慣病の引き金となる。シミ、シワ、老化現象もこれが影響している。
5)蓚酸や尿酸が発生し、カルシュウムと結合して、尿路結石になる。
10.脂肪分の摂取過剰の害
一般的な肉類の成分は脂肪分とタンパク質がそれぞれ半分づつ含まれている。
現代人は肉や油で処理した揚げ物が必ず食卓に上り、子供たちは喜んで食べて
いるから、母親も嬉しそうにしているが、こんな家族はとてもいつまでも元気
に過ごせるとは思えない。何故なら、
1)牛や豚の脂肪分は血液をベタベタにしてしまい、酸欠になり、コレステロールや
中性脂肪を増やし、動脈硬化になる。
2)脂肪分、正式には脂肪酸と呼ぶが、摂り過ぎれば活性酸素によって、過酸化脂質に
変わる。過酸化脂質はあらゆる細胞壁を破壊して、細胞内に入り込んで、病変の
元となる。
3)脂肪分を乳化させるために胆汁が分泌されるが、腸内の悪玉菌が蔓延っていると、
過剰な脂肪分は二次胆汁酸に変化して、ニトロソアミンと一緒になって、大腸がん
の原因になる。
4)脂肪分は消化に時間がかかるため、大量の摂取は消化不良を起こす。
5)脂肪分は炭水化物や蛋白質の二倍の熱量があるため、過剰摂取すると太りやすい。
11. 消化不良の症状
★胃壁に炎症を起こす。胃痛。食欲不振、胸やけ、ゲップ、口臭など出る。
★腸炎。下痢や便秘。腹痛。ガスが溜まったり、放屁。膨満感。発熱。
★体がだるい。疲れる。
★風邪を引きやすい。
★リーキ・ガット症候群。腸壁の炎症があると、普通は吸収されない大きな
消化物の分子が体内に吸収されて、体は異物と見なし、アレルギー症状を
発症。その害は深刻で、多くの難病まで、これが原因だと言われ出した。
12.消化不良の原因
★暴飲暴食
★ストレス
★運動不足。姿勢が悪く、骨格の歪み。
★刺激の強い、辛い、塩辛い、冷たいもの摂取
★消化の悪い繊維質の多いもの、固いものの摂取
★睡眠不足
★早食い、よく咀嚼しない。
★動物性食品、肉や脂っこいものの摂取過剰、食品添加物の多いインスタント加工食品
摂取。
★胃下垂や胃拡張である。便秘や宿便停滞。
★甘いお菓子や飲料水の摂り過ぎ。
13.消化不良の解決策
★少食にする。出来れば三分づき玄米を30回以上咀嚼して食べる。
★タンパク質や脂肪分は小魚、ごま、豆腐、豆類から摂取。肉は鶏肉を少々。
★水分はチビリチビリときれいな水を飲む。一日に1から1.5リットル。
★酵素の多い生野菜ジュース、野菜の糠漬け、味噌汁、果物、海藻、野菜
サラダなど。大根や山芋のおろし。ビタミンCのある柿茶を飲む。
★食事間隔できれば6時間空ける。
★一日1回は健康体操をする。姿勢を正し、適当に体全体を鍛え、体力維持に
努める。
★絶対やってはいけない事・・・酒。タバコ、甘いもの、大食。
14.まとめ
1)「食を制する者は命を制する」のである。暴飲暴食を止められない人は
束の間の口福にのみに酔っていてはいけないのである。
2)日頃大食していても、消化器官が文句も言わず、働いてくれることを、
当たり前だと気にもかけない、その傲慢な無神経さに早く気付いて、改めてほしい。
3)消化作業は酵素の働きが主力となっている。生命力のある、生きた酵素を摂ろう。
消化不良解決策は少食にし、腸内環境を整えて、酵素のあるものを吟味して摂取
する。酵素は温度50°Cで破壊されるので、火食ばかりでは体は活性化しない。
命あるものを食する。
4)日本人には肉食や乳製品は歴史的にも、体質的にも不適当なのに、なぜ皆欧米食に
走るのか、理解に苦しむ。肉を食べ、甘いお菓子を食べれば、腸内環境は腐敗物の
巣と化し、腸から効果的に栄養素を吸収できず、消化不良の元となる。
おわり
2018-10-15 豊岡倫郎
2018年9月28日(金)、静岡県男女協同参画センター あざれやにて「健康生活研究会」主催の講演会が開かれた。
代表は、増田 桂子氏。NPO法人健康を考えるつどいもこの講演会を共催している。
↓ まず開会に当たり、主催者挨拶。
今回の演題は「食」と認知症、講師は東京で渡辺医院を開業する渡辺完爾先生。
「認知症は予防可能な病気です」から、講演が始まった。
↓ 渡辺先生の講演。
認知症には大きく分けて、
■ アルツハイマー型認知症
■ 脳血管性認知症
の二種類があり、日本人の約60%はアルツハイマー型と言われている。
平均寿命が延びている中、急増している認知症ですが、全ての人がかかるわけではありません。
脳の萎縮は誰にでも起こりますが、多くの場合は脳神経のネットワークシステムが萎縮を補完し、認知機能が保たれています。
この神経システムの機能は、脳を使えば使うほど活発になり、脳が活動する事によりできる”脳のゴミ”をきれいに洗い流すことができる。
この”脳のゴミ・アミロイド β”の蓄積がアルツハイマー病発症の引き金と考えられ、その予防には、脳に知的な刺激を与える事と食事が大切 。
認知症になる人とならない人の最も大きな違いは、日々の食生活がその鍵を握っている。
地中海食が認知症予防にお薦め・・・と説く。
地中海食の特徴は、
また腸内細菌も認知症予防に関係があり、その改善をはかる事で効果が出る。
腸内細菌改善方法のひとつに「断食をして腸内最近を飢えされる」と言うユニークな方法がある。
断食の有効性は、
絶食により脳内に蓄積したアミロイドβが自己貧食されると考えられてきたが、
さらに絶食で神経幹細胞が活性化する事により神経細胞が新生して認知機能が改善すると言うメカニズムが示唆された。
植物性食物への食習慣の転換が必要。
■ 体に良い事、悪い事
体に良い事、悪い事の判断を誤らないようにしたいものだ。前回長生きできない生活態度を箇条書きしたが、何故それが体に悪いのか、ここにその理由を説明します。これからの生活態度の見直しに活かしてほしい。
■ 何故これが体に悪い生活態度なのだろうか
(1)大食
病気になる原因の9割は食べ物にあると言っている医者も居る位に、健康を左右する重要な要件である。ところが今は食事も多様化して、和食離れが進んで、しかも食欲を刺激され、ついつい大食してしまう社会環境が出来上がっている。しかし医学界の流れは少食が健康維持に有効であるというのが一般的になってきた。例えばアカゲザルや二十日ネズミの実験でも少量のエサを与えた方が多めにエサを与えたのに比べて、大幅に長生きすることが報告されている。理論的には体内の長寿遺伝子の
活性化、細胞分裂を制御しているテロメアの短縮化、酸化ストレスの増大で免疫力低下、体内酵素の枯渇などである。学会では肥満指数のBMIが25以上を肥満と定義しているが、いま肥満の人が2300万人居て、その内有病者が1100万人居て、更に増え続けている。
体内の脂肪分、 即ち脂肪細胞からアディポネクチンというホルモンが分泌されているが、このホルモンは脂肪分の少ない体の人や逆に内臓脂肪が多い太っている人からは分泌される量は少ない。このホルモンの働きは、動脈硬化の予防や改善、糖の取り込み促進、脂肪の燃焼、血管の拡張、腫瘍の増殖抑制、抗がん作用、老化防止、ヒアルロン酸分泌促進などである。100歳以上の人と若い人との血液中のアディポネクチンの量を比較したら、100歳以上の人の方が二倍近く量が多かったという。逆に言うと太った人などはこの値が低いから長生きできないということ。そういえば百寿者で肥満の人など見たことない。食べたものが胃から小腸へ送られ、胃が空になると、モチリンというホルモンが十二指腸から分泌されて、胃や小腸の蠕動運動が起きて、胃の掃除と小腸の活動が盛んになる。だから食間の間食や夜食は特に小腸の活動を鈍らせてしまい、悪玉菌までが小腸に蔓延るというから怖い。
(2)酒
アルコール分が体内に入ると、肝臓で分解されて、アセドアルデヒドという物質に変わるが、それが更に分解されるときに、大量の活性酸素を放出する。
大量の飲酒が長年続くと、肝機能が低下し、小腸でのビタミンDの吸収率が悪くなり、骨の脆弱化が起きて、骨格が変形し、腰痛などの原因となる。
また毛細血管が硬化して、体内の血流低下、脳の血管の収縮など飲酒が体に及ぼす影響は広範囲である。
親戚、友人、町内の人など身近に観察してきた人々が酒で人生を早々に終えた例をどれだけ多く見てきたことか。ところが医者たちは自分が酒を飲むから、患者たちの飲酒にたいして、寛容な態度をとっている。
なおタバコの害はここに書くまでもない。
(3)骨格の歪み
イギリスの諺に「首の曲がった人は早逝する」というのがある。元気な長寿者はみな背骨がしゃんとして姿勢が良い。
首の頸椎から胸椎、腰椎と計32個の椎骨が連なっているが、それぞれの椎間孔から体の臓器や組織に脊髄神経と自律神経が分布されていて、体は機能している。ところがこれらの椎骨の構成が前後左右にズレていたり、捻じれたりしていると、そこから出ている神経が圧迫されて、臓器や組織に神経伝達が正常に伝わらないため、組織の機能低下が起きる。もう一つは骨格が歪んでいると、それを取り囲んでいる筋肉や靭帯も歪められて、正しい姿勢を保てなくなる。
では何故骨格が歪んでいる人がいるのだろうか。子供のころからの悪い姿勢のクセ、運動不足で骨格を支えられず、楽な姿勢を採ったり、横座り、足を組む、猫背、捻挫や怪我が治りきらず固まってしまったなどが考えられる。いづれにしても足首、膝、股関節、仙骨と足元の下の方からの歪みがだんだん上の方へと波及してきて、背骨の歪み、首の曲がりとなる。自分では正しい姿勢をしている積りでも、95%の人はどこか歪んでいる。
これを機会に他人の姿勢や歩き姿を注意深く観察し、その人がどんな病で苦しんでいるか、チェックするとよい。内科の医者が担当する病気でも骨格の歪みが原因でおきているケースが多々ある。これが現代医学の盲点のひとつである。
(4)ストレス
ますます複雑になってきた現代社会では、子供から大人まで、ストレスを避けて生きては行けない雰囲気がある。医学の発達と共にストレスが体に及ぼす影響も解明されてきた。
ストレスといっても、一言では片付けられないが、一般的に言って内分泌系、自律神経系が反応して、消化器、循環器、免疫、ホルモン、神経系すべてに影響を及ぼすから、疾病は多彩を極める。例えば膠原病、糖尿病、腰痛もストレスが起因しているケースがあるくらいである。
ストレスから逃れようとして、酒、タバコ、甘いもの、大食に走る行為は決して根本解決にはならない
意外と知らないことはストレスを受けると、交感神経が昂進し、白血球の中の顆粒球が増えて、リンパ球が減るが、この時活性酸素が発生して、免疫力を低下させるし、血管が収縮して、血流障害が起きていろいろな疾病を招く。
(5)運動不足
人間も動物である。体には何一つ無駄な骨や筋肉はない。体を動かさなければ、どんどん筋肉や骨は退行してゆく。もちろん新陳代謝は下がり、血液循環も低下する。
百寿者の話を聞くと、みんな毎日体を動かすことをしている。三度の食事もおいしく食べている。筋肉が骨を支え、内臓を支えているのである。
健康を維持するためには、有酸素運動をして、筋力を維持して、低酸素と低体温になるのを防ぐことが肝要である。どうせ体を動かすのならば、効果的な健康体操を行いたいものだ。それには私の過去の経験から自彊術が最適だと思う。家の中で自分の体力に応じて、無理なく、15分間で終わる。
(6)便秘と宿便
最近は腸内環境の良し悪しが健康を左右すると言われている。いま多くの若い女性や高齢者が便秘で悩んでいる。統計によればいま日本に便秘症の人が3300万人いるという。
この件に関して一番の問題点は便秘や宿便によって、腸内環境が悪化して、腸内で発生したインドール、スカトール、フェノール、アミンなどの毒素が腸から吸収されて、血液と一緒に体内を巡り、脳を始めとして全身の臓器や組織に悪い影響を及ぼす事である。しかし現代医学ではこのことは無視されている。
最近衝撃的な話題になっていることは、「腸もれ」である。腸もれとは、便秘や宿便、過食による消化不良などで腸壁が薄くなり、糜爛や炎症があると、細胞間の連結が緩み、穴が開いて、そこから細菌、未消化物、毒素、腐敗ガスなどが血液の中へ入り込み、体をめくり、どんな病気が発生してもおかしくないという。これも現代医学の盲点のひとつである。
(7)砂糖類
砂糖の摂り過ぎが体に悪いことを知らない人が多い。甘いものは疲れを取ってくれると思っている人も多い。
何故体に悪いか列挙すると、酸性食品なので、体内でそれを中和するために、骨のカルシュウム分が動員されて、骨が脆弱化する。体内に入った糖分をエネルギーに変える過程でビタミンB1が消耗されて、疲れやすくなる。毛細血管が消滅して、血流が悪くなる。腸内の悪玉菌のエサとなって、消化不良や炎症が起きる。糖分は細胞や組織に水分を呼び込み、弛緩させて、関節や器官の締りがなくなる。血液の赤血球の周りを過酸化リン脂質で被膜して、細胞への酸素と栄養分の補給が滞る。糖分は体内吸収が早いため、血糖値の乱高下が起きて、低血糖値が起きて、集中力低下や短気となる。常に血糖値が高いと、糖尿病を招く。中性脂肪やコレステロールを増やす。
体内で糖分はタンパク質と結びついて、AGEと呼ばれる終末糖化産物が生まれる。
(8)高脂肪、高タンパク質
今もって高脂肪、高タンパク質、高カロリー食が健康維持に必要だとか、病気を治すには栄養を摂らなければならないといった考えを抱いている人が多いが、これは大きな間違いである。この欧米崇拝主義が改まらない限りは、病人は減らない。
ガンも高血圧症も糖尿病も高脂血症も動脈硬化も食べ過ぎの結果、起きているのに、食生活に改善の兆しがない。タンパク質の多い肉と甘いものの摂り過ぎがAGEという終末糖化産物を作り出し、体内のシミやシワを、あらゆる生活習慣病に、老化に影響を与える。
(9)活性酸素
活性酸素が体内で増える要因を列挙すると、大食、飲酒、喫煙、ストレス、疲労、過激な運動、太陽を長時間浴びる、放射線、電磁波、慢性炎症、睡眠不足、便秘、食品添加物や薬の服用、終末糖化産物の形成時などであるが、体内に備わっている活性酸素除去酵素ではとても間に合わないのが現状である。
その結果体内に溢れた活性酸素は脂肪分を過酸化脂質に変質させる。脂肪分の多い肉や油で処理した揚げ物などは、この過酸化脂質を増やすし、肥満の人は体内脂肪、コレステロール、中性脂肪も過酸化脂質に変わる。この過酸化脂質は体内の臓器や血管の中に浸透してゆき、傷つけたり、破壊したり、血管を脆くしたりして、病気を招く。
活性酸素は遺伝子を傷つける。だから活性酸素は全病気の80%に関与しているから、万病の元と言われている。
(10)性格
「健全なる肉体は健全なる精神に宿る」という言葉の通り、あなたの日々の生き方が健康を左右している訳である。周りの人たちの生き様、死に様を何十年も見てきたり、新聞や雑誌、テレビで、毎日のように健康に関する情報が流れているのを見聞して、これからのわが身の有り様はどうあるべきか、それを左右するのはその人の性格が舵を握っている気がするのである。
健康生活に適すると思われる性格とは、常に前向きの発想をする人、ものごとの本質を知ろうとする人、快活である人、感謝の念のある人、バランス感覚のある人ではなかろうか。
逆にどんなに体に良い健康法を提案しても、実行できない人とは、欲張り、怒りっぽい、保守的、新しいことに関心がない、グチをこぼす、理屈っぽい、進取の精神に欠ける、感謝の念に欠ける、物事の本質を知ろうとしない、バランス感に欠ける人達ではなかろうか。
■ まとめ
(1)私の口癖は、体に悪いことを止めれば、病気は治るということ。降圧剤を飲みながら酒を飲んでいる人、胃薬を飲みながら、酒を飲み、肉や甘いものを食べている人、コレステロールを下げる薬を飲みながら、肉や卵や大食している人、これらは理不尽と慢心以外の何にものでもない。
(2)「事実は否定できない」という言葉がある。医者に見放された重病の糖尿病の人、筋無力症の人が八尾市の甲田病院に入院し治療を受け、快癒した経験談を実際に会って、聞いたことがある。甲田光雄先生は三年前に亡くなられたが、今でも書店に行けば、難病の治癒例が書かれた本が何冊も置かれてある。病気には医者に治してもらう病気と自分で治す病気がある。
(3)ある特定のテレビ局がこれでもか、これでもかと、大食い番組を流し続けている。何を視聴者に伝えたいのだろうか。製作局責任者の良識を疑う。大食がガンやその他生活習慣病の一番の原因である。大食を続けていると、各種消化器は疲弊してしまうし、体が必要としている以外の残余は腸や血管や細胞に蓄積されて、マクロファージがその異物の処理に翻弄されて、本来の免疫力を失ってしまう。だから大食者は風邪を引きやすいのは、このせいなのである。
(4)日本人には日本人の縄文時代から自然環境に適応してきた体質がある。例えば飢餓には強いが飽食には弱い体の仕組みがある。欧米の高脂肪、高たんぱくのカロリー主義が普及してから、及び甘いものの摂り過ぎが、病人を増加させた。欧米人と比較して、日本人は胃の形状も異なり、酒や牛乳を分解する酵素の構成も異なっている。なのに牛乳を飲み、焼き肉、ハンバーグ、とりの空揚げ、ハム、ソーセージを子供に食べさせている母親の思いは、健全なのだろうか。
(5)体質と言えば、これを知って食べ方を変えてほしい。日本人の生活習慣に42の厄という習わしがある。この年頃になると体質が変わるから、健康に気を付けようではないかと解釈されるが。医学的に解説すると、こうである。人間の体には、活動エネルギーを作り出す方法が二つ備わっていて、一つは「解糖系」、もう一つは「ミトコンドリア系」である。解糖系とは糖質という栄養素を原料にしてエネルギーを作り出し、即効性があるが、作り出すエネルギー量が比較的小さく、細胞質でエネルギーが作られるのが特徴である。一方ミトコンドリア系の特徴は、糖質、脂質、タンパク質以外に酸素や日光を基にして、細胞内のミトコンドリアで作られ、作られるエネルギー量も多い。
だから加齢と共に食べ物の好みが変わっていくのも、お年寄りのガンは進行が遅いのもこれに起因している。この体質のチェンジに対応じた生活をすれば、病気にならないと言える。具体的には良く体を動かして、低酸素にならないようにし、暴飲暴食を止めて、少食にして、季節の新鮮な野菜を食べて、その土地で採れる魚と根菜類、豆腐、海藻など中心の和食がお薦めである。冷たい清涼飲料水やビールを飲んだり、体を冷やさないことである。
(6)今回の結論として、ストレスを溜めないで、笑いのあるゆとり生活を心がけ、感謝の気持ちを忘れずに、生きがいや楽しい目標を見つけて、歩み続ける事ではなかろうか。
おわり
1.あきらめないもうひとつの治療法がある
1)病気の見舞いで総合病院へ行くと、待合室は患者で溢れている。どうしてこんなに病人が多 いのだろうか。高齢者が増えたからだけではないようだ。高血圧にしても、高脂血症にしても、糖尿病にしても、服薬しても根治するわけではなく、症状を緩和するだけで、ずーっと飲み続けねばならないという。これでは病人は減らない。
2)そもそも病気には必ずその誘因となった原因がある。それに対する対応策を怠り、薬だけでその病気を治そうとすること自体に矛盾がある。悪いことを止めれば病気は治る筈である。
3) 世の中には色々な健康法や治療法がある。今回取り上げた光線療法も現代医学では採用されていない治療法ではあるが、現代医学の治療を受けているが、いまひとつ先が見えてこない人には、一筋の光明が射すことも大いに有り得る。
2.光線療法の歴史
古来より太陽の熱と光には、病気の予防や治療に効果があることが知られていた。1895年にデンマーク人のニールス・フインゼンがカーボンを燃やして人工光線を発する太陽灯を開発して、その光を患部に照射して、皮膚結核からくる尋常性狼瘡を治し、多くの患者を救った。その功績により、1903年に第三回ノーベル賞を受賞した。
日本では1908年に輸入品のニールス・フインゼンの開発したカーボン・アーク灯が、東京帝国大学皮膚科の土肥慶造博士によって、最初の光線療法として治療が試みられた。しかしその後は現代医学の主流から光線療法は外れてしまい、昭和の初期には、もっぱらこの輸入された光線治療器を使って、民間にて光線療法がおこなわれ、評判となり普及していった。
3.国内での光線治療の普及と国産光線治療器の開発
昭和6年頃に千葉県の佐原で穀物商を営んでいた黒田保次郎氏が42歳の時、得意先の役場の収入役の高城さんが千葉医科大で胃がんの末期と診断された。更に東京帝国大学の塩田博士の診察を受けたが手術不可能で、余命一か月と言われた。そして東京の親せきに泊まった際に、親戚の主人が築地に太陽光線治療で難病を治して評判の所があるというので、受けてみることになった。
そして約二か月間に40回照射を受けたところ、人力車から電車で通えるようになり、普通食が食べられるようになり、3か月後には役場に復帰した。薬は飲まず、注射一本打たず、光線治療のみで、奇跡的に治ったのである。
また黒田保次郎氏は甥が脊髄瘻に罹り、歩行困難で、駿河台の有名な佐野病院に入院していたが良くならず困り果てていた。そこで東京にあった光線治療所を訪ねて、光線治療器を分けてもらい、甥の治療に使用したところ、一か月後には病状は好転した。そして近所の困っている病人にも治療して喜ばれたのを機に、東京の日本橋に治療所を開いた。その後黒田保次郎の子息がドイツの光線治療器に改良を加えて、家庭でも使える光線治療器を開発した。そして現在は孫の黒田一明氏が財団法人光線研究所とその付属診療所の所長となって活動している。
一方もう一つの流れとして、昭和7年に宇都宮義真氏が病弱な長男義和に光線治療器を用いて、治療を行い、その卓越した効果に感銘を受けて、生涯の生業とすることを決意して、翌年東京の芝白金台に光線治療所を開設した。そして昭和9年には光線治療器を独自に開発した。その後二代目を宇都宮光明氏が継ぎ、現在は三代目の宇都宮正範氏が社名を株式会社東京光線メデイカルと、その付属治療所をサナモア治療院ソレイユとして開設している。
このふたつの会社はもう80年以上の歴史と豊富な治療経験を積み、現代医学の盲点となっている部分を補完して、人々に喜ばれ、貢献している。なお黒田一明氏は日本大学医学部を卒業し、また宇都宮正範氏も医学博士として、現代医学の医師の資格を持ちながら、光線治療による診療と治療にあたっている。
4.光線の種類とその働き
我々が自然界から何気なく、当たり前だと思って受けている恩恵には、光、空気、水がある。空気の酸素も水も太陽の光が無ければ、産生されない。
1)太陽光の内訳
赤外線(不可視光線) 5000mμ~800 mμ(ミリミクロン) これは波長の単位を示す。
可視光線 赤 800 mμ
橙 ↑
黄 |
緑 |
青 |
藍 ↓
紫 400 mμ
紫外線(不可視光線) 400 mμ~300 mμ
2)光線の作用
赤外線・・・目に見えない、波長が長い、透過力が強い、暖かく感じる、物体に吸収されて、熱エネルギーに変化する、痛みをとる、新陳代謝を活発にする。
紫外線・・・目に見えない、波長が短い、殺菌作用がある、痛みをとる、強い化学反応を生じる、体内にビタミンDを生成する、透過力がない、熱作用がない。
可視光線・・プリズムで分光すると7色に見える、視力を生じる、内分泌を調節する、熱作用と化学作用がある、
3)人口光線の発光原理
光線治療器の発光原理はプラス・マイナス双方の電極にそれぞれ炭素棒をセットして、軽く先端を接触させて、電流を流すと先端でスパークする。そして数ミリ先端の間隔を開けると、安定した光線が継続的に発光し続ける。これは人工的に作り出した理想的な太陽光線といえる。
なお炭素棒には金属元素が含まれていて、赤外線、紫外線、可視光線の発生比率を考慮して、上述の2社では独自の種類と本数を用意している。疾病の種類や使用目的に応じて、炭素棒を使い分けしている。
また紫外線の比率は1~2%程度で体に害を与えるものではなく、逆に最近はその働きが見直されているという。
5.光線照射器の種類
写真左は丸型で在来型のタイプに対し、右のものは二本のカーボン棒の間隔の調整を自動的に行う。照射時間のセットもできるので手間がかからない。使用電気量は100ボルト、300W位。価格は丸型家庭用は12万円位、角型自動式は52万円位。なおカーボン棒は消耗品なので、補充が必要。
前述の黒田一明氏の財団法人光線研究所と付属診療所の製品の総発売元は、(株)コウケントーで、商品名はコウケントーという名前で発売している。
一方宇都宮正範氏の(株)東京光線メデイカルと、治療所のサナモア治療院ソレイユのものは、(株)東京光線メデイカルが上場会社で、資本金641億円の電子製品メーカーのイビデン(株) 本社岐阜県大垣市の協力関係のもとに、開発製作していて、製品はサナモアという商品名で発売している。
なお写真の丸型のタイプは二社とも発売しているが、写真右の角型の自動式は(株)東京光線メデイカルのみ発売している。他にも後発メーカーとして数社から類似品が出ているようだ。
6.照射部位と照射時間
照射は直接肌に当てる。基本照射として、まず足の裏は必須、あと膝、腰、腹など。患部照射は患者の疾病によって決まる。照射時間は基本照射部分は5~10分。患部照射は15分から40分位。基本的に一日に一回。症状に応じて一日に3回必要なこともある。これは一例で、詳細は各メーカーのマニュアルがあるので要参照。
7.多彩な人工光線の効能
8.好転反応(陽性反応ともいう)が出ることがある
好転反応とは病気が治癒してゆく過程で発生する一時的な反応のことで、一見病状が悪化したのではないかと、勘違いする人が多い。漢方ではこれを瞑眩(めんけん)と呼んでいる。
その人の体質や病気によって異なるが、例えば、発疹、皮膚が剥ける、眠い、だるい、痛くなる、皮膚が赤くなる、膿が出る、頭痛がする、めまい、便秘する、ガスが出る、腫れる、腹痛、吐き気、下痢、発熱など様々であるが、そんな時は照射回数や時間を短くするなりして、様子を見ながら、中止せずに継続するとよい。
9.広範囲な適用症状
10.まとめ
1)ここまで読まれてきて、皆さんの疑問点は、何故こんな治療法が病院で採用しないのだろうかということだとおもう。もう一点は光線を照射するだけで果たして現代医学でも治らないような病気が良くなるのだろうかという疑問である。この二点と同じ疑問が玄米食療法、生野菜汁療法、断食療法などでも幾度となく言われてきたことである。現代医学は運転免許に例えると、限定付き運転免許だと言える。治療範囲が限られている。だからあきらめないでもう一つの治療法として、光線療法を検討する価値は大いにありうる。
2)この光線療法に限らず、昔から温熱とか加熱療法はいくつもある。温泉療法もいま前述のHSPの効果の面から注目されている。
3)冷え症や低体温の人が増えている。これがガン患者の増加原因のひとつと言われている。血行の悪いところにガンが宿ると云うから、病気の予防の観点からもおすすめできる。
4)光線療法は歴史が古く、全国いたるところに治療所があるし、家庭で光線治療器を所有している人も多いし、体験者も多い。いわゆるエビデンスもある。
5)これを機会に関心を持たれた方は下記の参考書を一読されると良い・
6)無知は死を招くという言葉がある。情報化社会といえども、我々の知らない事や体験しないことがいくらでもある。大事なことは、知ろうとしない人には出会いやチャンスは訪れない。
7)いま「体に悪いことを止めれば病気は治る」という本が出ている。たとえ威力ある光線療法といえども、悪い生活習慣を改めない限りはその効果を得れられないだろう。
おわり
2018-7-20 豊岡倫郎